2014年12月9日火曜日

Dir en grey『ARCHE』がまたもや素晴らしい。

予想外!!

発売日前日の午前中に届くとはAmazon にしてはやるなーと思いつつ、高速で再生紙でできた分厚い封筒を引裂き、中身を取り出す。本当は映画を観に行く予定だったが、一刻も早くその世界へダイブしたかったので予定を変更し一日家に籠ることに。
そうです、みなさん。ついにDir en greyの3年と4ヶ月ぶりの 新しいアルバム『ARCHE』が手元に届きました。





8/5火曜日の新木場にて行われたTOUR14 PSYCHONNECT -mode of "GAUZE"?-(全身の穴から体液が流れきるような凄くいいライブでした・・・)のお土産チラシの中に上記のデザインでニューアルバムのお知らせを受けてから早半年ちょっと。


まず今回目を引いたのが『輪郭』から続くB6サイズほんの一回り大きくしたようなパッケージで『UROBOROS』から続いたアナログ盤付属の仕様ではないこと。中を開くとステッカー、ポストカード、特設サイトへの案内状、そして歌詞カードはじゃばら状で表裏でデザインが繋がっている仕様。もう一つ冊子があり、こちらは各メンバーのグラビアとインタビュー、そして今回一番嬉しいのが1曲毎に各メンバーの短い解説がついているんです。今までに無いことだし、 個人的に解説付きって凄く好きで読んでて楽しいんですよね。どのアーティストに対してもそういう仕様にしてくれるのを願ってますがDir en greyはまた格別というか、よくぞつけてくれた!といった感じ。音楽雑誌を読めばいいことなんだけど一つに凝縮した感じで良いと思います。


数年に1回の祭事と言っても過言ではない新しいアルバムの発表ですが、せっかくなので解説もインタビューも読まない状態でまず通しで聴いてみストレートに感じたものを黒文字で書きます。その後もろもろ読んでからまた感想を赤文字でという構成にしたいと思います。タイトルテキストの色は聴いてなんとなくイメージした色です。

Disc1

01.Un deux
TOUR14 PSYCHONNECT -mode of "GAUZE"?-で既に披露されてました。
『Withering to death.』の頃のようなテイストを感じました。勢いのある1曲目でガッと掴まされる部分も通ずる気がします。
歌詞も凄く前向きな希望を感じるものでした。
他の曲にも未来や前向きな意識を持たせる歌詩があるが、唯一分かりやすく前向きな内容にしたとのこと。京も言ってるように、そういう意味でもこのアルバムの核になってるんだなーと。


02. 咀嚼
どことなく"和"を感じるけどイントロや随所に入るギターがSlipKnotっぽくもあるんだけど、ちょっと物悲しい感じのサビがまた好きですね。サビの入りが聴いてて気持ちいい。
やはり薫曰くキメの部分を意識してガッツリ入れたらしい。確かにコレ演奏してる側は気持ちいいだろうな。

03. 鱗
賛美歌の如く声の重ね方が凄まじく、存分に京の声を堪能できる一曲。
『GAUZE』〜『MACABRE』の頃のようなアップテンポでV系然としたメロディやギターソロが聴いててなんか嬉しい。
京が自分ができることを追求した結果の一つとして様々な声色を駆使するというテーマが製作の過程であったらしい。まさしくこの曲はそれに当てはまる一つなんではないでしょうか。

04. Phenomenon
「DISABLED COMPLEXES」のようなダウナーでアンニュイな感じがクセになりますが、後半は切なくもなにか美しい風景を観てるかのような雰囲気がまた溜まりません。
京「一番ダークな気がします。単にドロついてるのではなく、どこか綺麗な感じがします。」←京と感性が繋がった瞬間(歓喜)

05. Cause of fickleness
00年代中期のV系っぽい感じが逆に斬新。彼らも一周周った感ありますね。
笑い声といい、歌詞表記(wake me up〜)が繰り返しになっていて原点回帰かのような勢いが聴いてて気持ちいい。新たなライブ定番曲となる予感。
Shinya作曲というところに驚愕!「虜」といい「腐海」といい、ツボ付いてくるなー。
確かにToshiyaの言う通り『鬼葬』や『Withering to death. 』に入っていてもおかしくない!!

06. 濤声
凄くライブで聴きたい曲。
Shinyaのドラムがここまで終始気もちいいのは個人的には久しぶりだし、珍しいアプローチの仕方だと思います。
Shinya曰く「名曲」。
ドラムロールも加えてドラマチックを意識したそうな。

07. 輪郭
僕自身ドラムを叩いている人間なので一番に「おっ!」と思ったのがシングルの音源に比べてスネア、タムの音がスモークがかってるような、でもしっかりソリッドに響いてるところがまた憎い!ラルクの「Link」がシングルとアルバムとで変わったように!
アルバムに溶け込まないかもだから収録するかどうか悩んでいたらしいが、そんなこと言わないでスッと入れてくださいよ!全然違和感ないよ!

08. Chain repulsion
この細かいギターリフに加え4つ打ちといい、クラッシュ(Shinyaはクラッシュを使いませんが)を軸としたアレンジも新しくて超テンション上がりますね。Dir en greyが疾走感を出して来たのって凄い久しぶりじゃないですか?
僕の感想とメンバーの言ってることがほぼ同じでビビりました。

09. Midwife
前作『DUM SPIRO SPERO』に収録されていても馴染むような重さ。
「出産記念パーティー」を繰り返す部分は耳に残りますね。ぜひライブでオーディエンスと叫びたいです。
アレンジにかなり時間が掛かったそう。元の原曲が聴いてみたい。

10. 禍夜想
コレを聴いて『輪郭』リリース時にも思ったのですが、透明感のある楽曲が増えてきたなと漠然と思いました。
Aメロ、Bメロは激しく、サビはメロディアスにというV系独特の構造がある中でその殻を破ったDir en grey独特の色が出てると思います。
『SUSTAIN THE UNTRUTH』の頃にはあったそうな。そういうの何曲かありますけど、その当時には既にあった系のエピソード凄く好きで。自分があの頃何してたかを思い出して、それと同じ時間軸で彼らはこの曲を作ってたんだなーとぼんやり思い返すのが凄く好き。

11. 懐春
綺麗なメロディで大好きな曲です。ライブでどういう風に京が立ち回るのか想像がつきません。彼のことなので直立して歌うんでしょうが、サビのノリが体を揺らしたくなる気持ち良さなので気になりました。
Shinya曰く「これも名曲」。
Die作曲ということで、一番答え合わせ感がありました。さすが綺麗なメロディを作らせたら右に出る者はいない。非常に納得です。

12. Behind a vacant image
石川忠かと思うような轟音イントロですが、これまた多くの声色を駆使した曲。途中Cold Playのような優しい雰囲気になります。
Shinyaの「宇宙っぽい」というのは非常に共感できますね。真っ暗闇を放浪しているような浮遊感が心地いいんです。

13. Sustain the untruth
この曲もリリース時に昔っぽいと話題になりました。『輪郭』は少し毛色が違ったので『THE UNRAVELING』からこの曲にかけての流れが今作に継承されてると思います。
音のメリハリがシングル音源に比べてハッキリしてます。
薫「リミックスしてアルバム仕様になって帰って来た」この一言に尽きます!

14. 空谷の跫音
リリックビデオも作られているので、アルバムの一つの核となる曲だと思います。
『Withering to death.』と『UROBOROS』を掛け合わせたようなイメージでした。荘厳です。
前半はシンプルな音作りに徹底したそうな。
ちなみにタイトルの意味は「退屈で寂しい生活を送っているところ、思いがけず手紙が届いたり、誰かが訪れたりすること」これは僕の今の現状に少し当てはまったりして一気に印象が変わりました。

15. The inferno
「GARBAGE」と「凱歌、沈黙が眠る頃」を掛け合わせたような。
それにしてもフェードアウトしていくのはかなり珍しいですね。
勢いで勢いある曲を作ったらしい。そのままらしい。

16. Revelation of mankind
タイトルは「人類の黙示録」という意味でいいのか。そうだとしたら結構ストレートなタイトルで驚く。
Dieも言っていたが、確かにアッパーで始まり、アッパーで終わるアルバムはなかなかなかったなーと。そう考えると『鬼葬』以来か。

Disc2

01.and Zero
実際に聴いたことは多分ないが、恐らく既に開演前にSEとして流れていそうな一曲。珍しくボーカルはなし。
やはりSEとして流れていたらしい。最初は打ち込みだったらしいのでそちらを聴いてみたい。

02.てふてふ
タイトルは「蝶々」の旧かなつかいなんですって。この曲も『VULGAR』や『Withering to death.』の頃のような空気感がありますね。凄い懐かしい感じ。
解説で「アルバムに入れたら世界観が変わってた」と薫が言ってましたが、確かに「and Zero」もこの曲も別次元にあるような感じがします。でもこの二曲も含めて『ARCHE』と考えるとまた違って見えて面白い。


総合感想
メロディアスな曲が多く、前作のような音の面でのダウナーさは今作はそこまでない。
加えて新しい 試みや原点回帰的な部分もあってARCHE=根源というタイトルに相応しいアルバムでした。
今作は「より分かってもらう」ことに重点を置いて、今までの突き抜けた追随不可能な領域からは 方向転換してストレートなものを目指したらしい。それはやっぱりメロディにも演奏にも歌詩にも表現されてるし、インタビューや解説付きのブックレットもそういうテーマの下にあるんだと思いますね。そういう点も踏まえて個人的には かなりドストライクなアルバムになったと思います。ぜひいろんな人に聴いて欲しい。って言うのはDieが「賛否両論あってこそDir en greyだ」とインタビューで言ってたんですね。うるさ型のファン以外にも物議を醸したい人とかいると思いますが、残念ですがあんまりそれはできないと思います。文句なしに「賛」しか出てこないアルバムでしたので。


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