2013年12月11日水曜日

『高速ばぁば』と『カルト』が凄く面白かった件。

『先生を流産させる会』の内藤瑛亮監督最新作『高速ばぁば』と、『戦慄怪奇FILE コワすぎ!』シリーズの白石晃士監督最新作『カルト』をレンタルDVDにて鑑賞。
これがなかなか面白かった!どちらも一週間限定レイトショー公開だったことと、仕事の繁忙期が重なり、レビューも何も見てなかったんですが、それが功を奏しましたね。今回もネタバレはもちろんですが、もしこのブログを観てくれている方がいるなら、この二本は前情報なしで観るのが一番だと思いますので、どうぞ、そっとブラウザを閉じて頂いて、AmazonでもTSUTAYAでも何でもいいので手元に置いてご覧になって頂くことをオススメします。


僕は"結婚"に対して凄く拒絶感というか嫌悪感を抱いている人間なんですが、それを上手く人に説明できないときに内藤監督の『先生を〜』を観たんですね。劇中、先生を流産させる会のメンバーの一人が担任の先生が妊娠したことに対して「先生妊娠してるんだよ?気持ち悪くない?」と言い放った台詞が本当に衝撃的だった。実際にそれによって彼女たちは被害を受けた訳でもないのに。自分と同じ姿形をした人間が持つ生理的な畏怖の念に打ちのめされ、ただ拒絶し「気持ち悪い」としか表現できないその嫌な感じは、まさしく僕が"結婚"に対して想うものと通ずるものがありました。「これはやばいぞ!!」と。「やばいものを観ているぞ!」とその日を境に内藤監督を追うようになりました。どうしても過去の作品は自主制作だけあって発掘するのはかなり厳しいんですが、先日行われたCINEMASTE3.0に参加したときは短編『救済』もさることながら、内藤監督のバックボーンが垣間みれて興味深かったし、何より思ったのは内藤監督の作品は一貫して「思春期の少女の鬱屈した内面がもたらす悲劇」が根底にあるということ。女子のああいうドロついた関係性を静かなトーンで、嫌〜な感じで映し出すのはまさに職人技。今回もそれが遺憾無く発揮されている。
ストーリーはアヤネ、ナナミ、マユコの3人からなるアイドルユニット ジャージガールが廃墟になった老人ホームに肝試しに行くというところから始まるのだが映画冒頭、早速ですよ。ナナミがアヤネのジャージにホッチキスの芯を仕掛けるという鬱屈した行動から始まるんですね。開始1分からもう内藤監督のあの"嫌な感じ"がぷんぷん。
ホラー演出も良い感じ。吸い殻の入ったミルクがあったり、怪しい医院長らしき人物のポスターがあったり、後で発覚する事態の細かーい伏線が散りばめられている中、アヤネが初めて高速ばぁばに接触するシーン。カメラが切り返すとアヤネの背後にはシーツでぐるぐる巻きにされた何かが4〜5体宙に浮かんでアヤネを覆うように見下ろしているのがゾッとする恐さ。このキレのある編集は深沢佳文さんによるもので、実は後述の『カルト』でも深沢さんが編集を担当しているのという偶然
ところでホラー映画ではアイドルを起用する機会が多いですが、今回僕的にグッと来たのはアイドリング!!!25号の後藤郁ちゃん!メイキングを見て映画初出演と知って驚きましたが、長い白髪やらかさぶたやら口から何かを出すというアイドルだからこそ見ていて楽しいシーンを上手く演じていたので今後注目して行きたい一人ですね。
エンドロール後も後味の悪さは残るものの、『先生を〜』とはまた違った後味の悪さ。「あの廃墟に入った時点でお前ら全員終わりだから」とどう頑張ってもダメだったんだという後にして分かる絶望感。これがまた日中に悲劇が起こるから憎いんですよね〜。「ホラーだからって昼とか夜とか暗いとか明るいとか関係ねーから」と製作側から叩き付けられてるようで、嫌〜な気分になりました(笑)褒めてますよ!


もう一本は白石監督の『カルト』。
ストーリーは番組の企画として、あびる優、岩佐真悠子、入来茉莉(全員本人役)が怪奇現象が起こる家を霊能者と共に除霊し、それをレポートしてもらうという内容。
『戦慄怪奇FILE〜』を見てフェイクドキュメンタリーの新たな可能性を感じてすっかり白石監督の虜なのですが、近くのレンタル店に他の作品があんまり置いてないんですよね。あっても貸し出し中とか。なので今作と『戦慄怪奇FILE〜』シリーズの5作品しか観れてないのが悔しいところ。とは言っても、その5本だけでも白石監督の非凡なアイディアとキャラクター造形は本当に凄くて。まず、登場人物に必ず一人はおかしい人がいる。おかしいっていうのは、普段僕達が街中で、本能的に心の中でしているような「あの人はちょっと普通ではないな」という線引きがありますよね?その線の向こう側にいる人たちのこと。いい例が『戦慄怪奇FILE〜』シリーズに登場するメインキャストのディレクター工藤。基本的にこのシリーズは怪奇映像を投稿してくれた協力者と共に実際に現場に赴きその事象を検証するというのが軸にあるのだが、彼の何がおかしいって「霊を捕まえる」というどう考えても理解できない絶対にブレない信念の下に行動しているところ。故に人間と霊やその他の事象に対してもの凄くストイックに接する為、時には度を超えた暴力が飛び出すこともあり、それによって生まれる思わず笑ってしまうシーンやシリーズ毎に登場するおかしい人らが織りなすドラマも見所の一つなっている。
そして今作のおかしい人は、中盤から現れる謎の霊能者ネオがそれにあたるでしょう。演じているのはなんと『仮面ライダーオーズ』でアンクを演じていた三浦涼介!なぜ彼を起用したのだろうと鑑みるに、アンクを演じていたことが一番だと思うんですよね。敵でありながらも自分の欲望のためにオーズを利用し、結果的にサポートし共闘していく様は今作と通づるところはある上に、ヒロイックに描かれているのは何か必然性を感じますよね。話し方や雰囲気、振る舞いなどアンクそのもので出て来たときは非常にワクワクしました。
クライマックスに向けて判明する謎のカルト教団の存在は斬新で、その時点から闘うべく相手が霊に加え、人間が生む驚異的な残酷さや狂気にシフトしていくのがこの手のフェイクドキュメンタリーでは新しいと感じましたね。しかも次回作を臭わせる締め方。まあ次回作は無いと思いますけど。これで本当にこの続きをやったら想像もつきませんが、それは白石監督作品なら毎度のことなので期待せずに待ってみようかと思います。



どちらも低予算ながら工夫とアイディアを凝らした良作だし、ホラー映画のマンネリ化を感じてる人にこそ観て欲しい作品!絶対に今まで観たことのないものが観れるのでぜひともご鑑賞あれ!


2013年12月3日火曜日

トリップのトリップによるトリップのためのトリップムービー『メタリカ・スルー・ザ・ネヴァー』





『メタリカ・スルー・ザ・ネヴァー』(字幕)

原題:METALLICA THROUGH THE NEVER
2013/アメリカ/92分
監督:二ムロッド・アーントル
製作:シャーロット・ハギンス
脚本:二ムロッド・アーントル、メタリカ
出演:メタリカ、デイン・デハーン

ストーリー:メタリカのコンサートスタッフであるトリップは、バンドにとってある重要な荷物が届いてないことを告げられる。タイムリミットはライブ終了までの90分。街中を行く最中、制御不能になった車に激突され、そこからトリップの不思議な冒険が始まる。


高校生のとき、中古CDショップでたまたま見つけたアルバム『Kill' Em All』のジャケットがかっこよくて購入したのがメタリカとの初めての出会いだった。その後もアルバムを追いに追っていたが、結局熱心なファンとは言えないくらいに留まった。とは言え、メタリカの轟音ライブを映画館で、しかもIMAX 3Dで観れるとなったらちょっと興味が湧く。

コチラがそのジャケット。高校生には優しい半額セールをやっていて、450円くらいでした。


だがしかし!僕がこの映画を観にいくにこぎ着けた理由は、もう一つの見所でもあるデイン・デハーンに他ならない!『クロニクル』が初デハーンだったのだけれど、暗い雰囲気と腹にイチモツ抱えたような顔つきと鋭い眼光!一回観て、すぐ惚れてしまいましてね。ほいで、もともとこの映画にデハーンが出演してるのは知らなくて、TwitterのTLに感想が流れてきたときにデハーンについて評価していたので「出てるのか!」と。しかも役名がトリップときたら コレはもう観に行くしかありません。
毎度のことながら本編前のIMAXのカウントダウンは素晴らしい。何度観ても涙が溢れて心の中で親指が上がっちゃいます。まあ、その話は良くて、映画冒頭、得意気にスケボーするデハーンがもう既にかっこいい。その後コケるのもまた良し。デハーン演じるトリップ(名前が最高)はバンドをステージ裏でサポートするローディーなのだが、メタルバンドのローディーというだけあって小綺麗さの欠片もないイカツイ衣装がまたデハーンの暗く陰鬱な雰囲気に合致している。そんなトリップが仕事をサボってライブを楽しんでいると緊急ミッションが下される。その内容は「バンドにとって大切な荷物がまだ届かない。どうやらそれを積んでるトラックがガス欠してるらしい。急いで取りに行ってくれ。」 ローディーというより完全なパシりになってるのは置いといて、めんどくさそうな顔をするものの文句一つ言わず引き受けるトリップのメタリカに対する愛情は大きい…んだと思う。
そこからメタリカのライブとトリップのちょっとした冒険が交差しつつクライマックスへ向かうのだが、この映画、トリップのパートは文字通りトリップムービーと言っていいほど訳が分からない展開なのだ。何やら街では暴動が起こっているのだが、話が進むにつれ「現実ではない何か」の空気感が張りつめる。その現実との線引きを担うのが超現実的な存在である馬に乗ったガスマスクキラーである。



カウボーイの如く暴徒の首にロープを括り吊るし上げる。警官隊と暴徒達のどちらにも属していないガスマスクキラーはトリップの冒険を象徴している存在でもあると思う。
余りに凄惨な光景にトリップはガスマスクキラーに石を投げて追いかけ回されるが、上手いこと乱闘騒ぎの中を逃げ切ったトリップは、ガス欠したトラックを発見するがドライバーは何かに怯えて震えているだけ。荷台を開けると”バンドにとって大切なもの”と思われる鞄が入っている。この中身が何なのかは最後まで明らかにはされない。トリップの冒険のマクガフィンとして設置されているもの・・・と捉えられるが、無粋ながらコレはある意味でトリップできるものなんじゃないかなーと(笑)。
そんな折、一人の男が手招きをしている。するとその後ろから暴徒の群れとガスマスクキラーがこちらに向かってくる。この後、トリップは自らを炎に包みこの暴徒達に殴り掛かる。そして目が覚めると何故かビルの屋上に。前にはガスマスクキラー。危うく吊るされそうになるものの、なんとか斧を取り上げ振りかざす。地面がバキバキと割れ、周囲のビルの窓ガラスがバリーーン!ビル自体もボロボロ崩壊!もう訳分かりません!
ただ、トリップが炎に包まれたり、周囲のビルの窓ガラスが割れたり、ビルが崩壊したりといった非現実的行為がすべて、メタリカのライブに反映されてるのです。これはライブ序盤、ローディーでありながら観客席のすぐ横でノリにノる姿や、パシられるものの文句一つ言わないで出かける姿を観るに、憧れのメタリカの側にいるものの、どこまで行っても遠い存在である彼らの一部になりたいという欲求がもたらしたものだと取れます。ガスマスクキラーを倒すビル崩壊シーンは一番顕著に出ていて、ステージセットが壊れたり、けが人が出る惨事になり、メタリカのライブ自体が止まってしまいます。その後ライブはその状態のまま続行されますが。

もう火事。

トリップの行動が反映される仕組みも面白いですが、ステージ上のセットや演出が凄く凝っていて非常に見応えがありました。
電気椅子から電気が走り出したり、棺の形をしたモニターにもがく人を移したり、火柱が立ち上がったり、女神像を組み立て、崩壊させたり、バラードのときにはグッとライティングや動きを抑えメリハリのライブになってました。

総じて映画全体の比率としてライブ映像とトリップの冒険は8:2くらいの割合です。が、やはりデハーンのスター性とハードコアな暴動シーンによりなかなか濃い内容になっている。正直デハーン目的で観るには思っているほどボリュームが少ないかもしれないが、この機会にメタリカのライブパフォーマンスを観るのも非常にオススメ。
IMAX 3Dというだけあって映像、音響は最高でしたが、3D効果薄いかなと。何にしても視覚的、聴覚的にかっこいいのでぜひオススメです。

2013年10月22日火曜日

『凶悪』と『死霊館』



最近思うのは堺雅人が絶好調すぎること。
『半沢直樹』は流行語を生み、新作『リーガル・ハイ』の第二シーズンも水を得た魚の如く調子がいい。オマケにトヨタのCMにソフトバンクのCMときた。これはもう、菅野美穂がアゲマンということの証明に他ならないでしょう。本当に幸せな生活を送ってらっしゃるんでしょうね〜。なんの話なんだか。



こないだ『凶悪』を観たんですけど、傑作でした。実は気合い入れて記事書いてたんですが、何故か消えちゃいまして・・・。もう一度初めから打つ気力と時間はもうないので、断腸の想いでここでさらっと書きますが、主要キャストの山田孝之、ピエール瀧、リリー・フランキーの三人を揃えた時点でもう間違いないんですよ。
山田孝之演じる藤井がリリー・フランキー演じる木村が第一の殺人を犯しているところに遭遇する→そのまま7年前に飛ぶ→そのまま現在へと時が追いつく。とにかくこの時系列の飛び方が素晴らしくエキサイティング。7年前に飛ぶシークエンスから主人公の藤井が不在のままジェットコースター級の犯罪祭にいつの間にか観客側も凶悪さに麻痺してしまう。そこから、藤井が木村をパパラッチする対峙シーンで初めて「やば・・・俺今の今まで完全に楽しんでた・・・」とハッ!とさせられる。
よく『冷たい熱帯』と比較されがちですけど、僕としては園子温独特の詩的表現が多い『冷たい〜』より仕上がりがソリッドな今作のほうが好きですね。


山田孝之の眼力とすり減り具合がサイコー

あとジェームズ・ワンの新作『死霊館』も観ました。これ実話ベースなんですがなかなか恐かった。僕も霊感あるほうなんですが、「暗闇に誰かいる・・・!」という"そこにいる何か感"が超リアル。「あーこういう感じこういう感じ!」と観ながら頷ける部分が多かった。『インシディアス』は前半は良かったんですが、後半とのトーンが違いすぎて着いて行けなくなったりもして。一番恐かったのが洗濯物が風に飛んだと思ったら一瞬人形に浮き上がってまたバーっと飛んでいったシーン・・・恐かった。しかもウォーレン夫人が地下に落ちるシーン以外がほぼ実際に起きたことと言うんだからこれまた恐ろしい。
僕の中でジョーイ・キングちゃんが怯えるシーンが凄くお気に入り。というか最近至るところでジョーイちゃんを観るんですが、結構好きです、あのクシャっとした顔の感じ。今後も楽しみな女優の一人。
同じ実話ベースでエクソシストがテーマの『ポゼッション』も観たのですが、あちらは少々オカルト色が強くて『死霊館』のほうが好きですね。

40年前でありながら、カメラや録音機を使う非常に近代的な技法で霊と闘っていたウォーレン夫妻


早いものでもう10月半ば。今年公開の映画がぞくぞくとレンタルやセルで出てるので、追うのが大変で大変で。その一方でジョン・ランディス著の『モンスター大図鑑』や、GTA5、先日行われた第四回高校生RAP選手権など、楽しいことが一杯。だが消化する時間がないんですが、少しづつやっていこうと思います。

2013年10月1日火曜日

POVの最終到達点!『クロニクル』





『クロニクル』(字幕)

原題:CHRONICLE
2012/アメリカ/89分
監督:ジョシュ・トランク
製作:ジョン・デイヴィス、アダム・シュローダー
脚本:マックス・ランディス
出演:デイン・デハーン、アレックス・ラッセル、マイケル・B・ジョーダン、マイケル・ケリー 他

ストーリー:ある日謎の物体に触れた高校生のアンドリュー、マット、スティーブは超能力を身につけ、その模様をカメラに記録していく。超能力をイタズラに使用する日々が続くが、ある事故をきっかけにその生活は一変していく。



POVの最終到達点と言っても過言じゃない傑作

最終到達点ってどこが?って話なんだけど、大きく二つの問題をクリアしてるとこにあって。
まず一つが『ブレアウィッチ・プロジェクト』や『クローバーフィールド』や『REC』など、数々の名作が生まれていく中で、どうしても腑に落ちないのが、なぜどんな危機的状況でも撮影しているのか?とういところ。撮影云々の前にカメラをずっと持ち続けてるのがね。もう一つが必ずアングルが固定されてしまうところ。撮影者が鏡越しにしか映らなかったり、落としたらもう動かないなど、かなり制限される。
今作はその二つの見事にクリアしているんですよ。超能力で手持ちカメラを浮かせることでアングルやカットの自由度も上がっているし、手持ちカメラだけじゃなく街中にある監視カメラ、野次馬が撮ってる携帯のカメラなどありとあらゆるカメラに切り替わるので演出の幅もグッと広がっているんですね〜。
だから今作でしか観れない映像、例えば雲の上でキャッチボールしたり、塔の上で語らってるところを俯瞰したりこれだけでも必見。


さらにメインキャスト三人の雰囲気が最高で、凄く微笑ましいんですよ。特にデイン・デハーンが物凄く良い。高校生三人が超能力(主にサイコキネシス)を持ったらどうするか?スカートめくりからイタズラ、空を飛んで世界旅行など。ここら辺の行動心理に無理がなく、少しづつ不穏な展開に向かうのは1秒足りとも退屈させない。
ちょっと違うが『マン・オブ・スティール』が消化不良だった人はコッチがオススメかも。自分の居場所を求めて足掻く高校生が超能力を得たことで生まれる新たな友情や希望や葛藤を通してある種のヒーロー誕生譚としても楽しめる。


監督も公言しているように『AKIRA』や『キャリー』などに影響を受けているらしく、それはアンドリューが病気の母を救うために出る行動から顕著に表れてくる。特殊能力を手に入れてしまった者の末路としてしっかり描けていると思う。その先には、それまで観てきたメインキャスト三人の心地よい演技アンサンブルがあってこその物悲しいカタルシスが待ってるんですよ。僕もああなったら友人の希望は叶えてやりたいです。


首都圏内二週間限定公開という非常に勿体ない興行だが、ぜひ今観に行って欲しい。よく別料金で¥1000ジャストだし。

そして既に発売しているUK版Blu-rayには、なんと日本語字幕と日本語吹替(!)が収録されてるってんだから文句のつけようがない!http://www.fantasium.com/detail.phtml?ID=SCI89889 …




2013年9月17日火曜日

高速格ゲー『マン・オブ・スティール』




『マン・オブ・スティール』(IMAX 3D 字幕)

原題:MAN OF STEEL
2013/アメリカ/143分
監督:ザック・スナイダー
製作:チャールズ・ローブン、クリストファー・ノーラン、エマ・トーマス
脚本:デビッド・S・ゴイヤー
出演:ヘンリー・カビル、エイミー・アダムス、マイケル・シャノン、ケビン・コスナー、ラッセル・クロウ、ダイアン・レイン、ローレンス・フィッシュバーン 他

ストーリー:惑星クリプトンは滅亡の危機を迎えていた。指導者ジョー・エルはゾッド将軍率いる反乱軍が起こしたクーデターの最中、生まれたばかりの息子 カル・エルを地球へと送り出すが、その直後ゾッド将軍に殺されてしまう。
カル・エルは地球でクラーク・ケントとして自分の生きる意味を探していた。そんな中、氷河になぞの飛行船が眠っていることを知り、そこで実の父ジョー・エルの意識と対話し、自分のアイデンティティを知る。
その頃、母星が滅びたことにより幽閉が解除された反乱軍は地球へと侵攻しようとしていた。その目的は惑星クリプトン再生の鍵を握るカル・エルを奪還することだった。




109シネマズ湘南にて鑑賞。

二回観ました。一回目はレイトショーだったんですが食後と疲れのせいか、スーパーマンがゾッド将軍率いる反乱軍と闘っている間、僕は超絶的な睡魔と闘ってまして・・・後半の記憶がゴッソリ抜けているので、リベンジで今日二回目を観に行って参りました。睡魔は軽く来たものの全編鑑賞!

スーパーマンリブートのアナウンスを聞いたとき「お!ジャスティス・リーグに向けて順調に進んでるね〜」と嬉しかった反面、スタッフを観たとき「おお!監督ザック・スナイダー!?やべえ!!・・・・・製作ノーランかよ・・・」と。ザック・スナイダーは好きです。彼の監督作品はほぼ観てます。(『300』観に行ったときも、ギリギリ間に合うか間に合わないかの瀬戸際で猛ダッシュして何とか間に合って観てたら後半から寝ちゃったんだよなw)ノーランも嫌いじゃないんですよ?ダークナイトシリーズを綺麗に完結させたことは偉大ですし、リアルタイムで観れたことは自分が老いたときに自慢できるようなことだし、嫌いじゃないんですよ?・・・ただ、主人公がウジウジウジウジ悩みくさるところだけがどーーーーーーーーーーーーーーーーーしても気に食わなくて!!!!!?
『ダークナイト』を劇場で観たときは「これは半端ねえ!映画史が動くでええ!」と感銘を受け、DVDもリリース直後に購入し、唸るほど何度も観てる内に「そんなに悩むならもうバットマン辞めれば?」という大変冷めた目線を送るようになってしまったんですよ。『インセプション』でもディカプーはずーーーっと悩んで「あーこれ最後まで悩んで大事なところで決断迫られてウジウジしてヘマすんだろうな」と思ったらそうだったし。もうなんかノーラン=「めんどくさい思春期」みたいな認識なんです。
で、あの予告編。「うわー、もろにノーランっぽいー」と。アメコミ特有の外連味とか色味とかを排してシリアス方向に持ってくのはいいんですが、どーも思春期っぽい。だって自分探しの旅しちゃってるんですよ?マジかと。 いや!ノーランに気を取られていたが、これはスナイダー作品なんだ!ノーランのことは忘れてスナイダーの綺麗でフェティッシュな映像に期待しようじゃないか!

とまぁ、長くなりましたが、こういう前振りがあっての感想です。
ちなみに僕は原作はおろか78年から続く今までのシリーズは一切観ていない。それくらいの熱量の人間です。

前半は自分のアイデンティティと人生の選択に苦悩するノーラン印、後半はゲームライクなカメラワークと破壊に破壊に重ねるスナイダー印の「新生スーパーマン」とだけ聞いて観に行くと確実に面食らうバリバリのSF大作でした。

僕、エイミー・アダムス好きなんですけど、やっぱり可愛い女優さんですよね〜。今作では能動的に大活躍するのが嬉しかった。ゾッド将軍役のマイケル・シャノンのあのアクの強そうなしつこい感じ(褒めてます)とか超ハマってたし!幽閉される直前の次第に大きくなる「I will find him!!!!」は最高だった。キャラとしても、「選択」をし続けてきたスーパーマンとは対象に、クリプトン再生という信念を貫いて「選択」を捨てた者としていい味だしてました。

彼も彼なりにクリプトンのことを思ってたんだよね。

一番個人的にグッときたのが、ゾッド将軍が地球の大気に順応できず嗚咽をかいているときに代打で出陣したファオラとナムとスーパーマンとがセブンイレブン通り(勝手に命名しました)の前にて対峙するシーン。こういうワクワクするシーンを観たくてアクション映画観に来てるんだよ!あの蜃気楼に揺れる強敵二人がゆっくり向かってくるとこ。たまりません。そこからの市街地をぶっ壊しながらの高速バトルはかなりの見物。ここがこの映画のピークですよね。ぶっ飛ばされた方にカメラがグン、グンと二段でズームしたり、いい感じにコンボ決めてたらぶっ飛ばされてた奴がいきなり画面外から体当たりしてくるなど、いちいちカメラワークや展開がゲームライクなので大画面で格ゲーを観ているような感覚に。やはりザック・スナイダー只者ではなかった。素晴らしい。

仲間が飛び込んでくるとことか、もうこんな感じ!

ただ、気になる点も何個かあって。反乱軍が元老院に捕縛され、これから幽閉されるってときにちゃっかりおめかしして出てくるララ。こいつ直前まで、息子と辛い別れ方した挙げ句旦那殺されてんだよ?どこにそんな余裕あんの?てかそんな時間あったようには見えなかったが。あと『パシフィック・リム』のシンプル イズ ベストなデザインや展開を観るとどうしても回りくどいというか、ややこしいというか…。よく分からなかったのはあの効率悪そうな重力兵器は何?あれで地球をクリプトン化させるって効率悪くね?てか効率悪いのかどうかもよく分からんのだが、絶対効率悪い気がする。だってあんな一回で直径50mくらいしか侵攻できないなんてさ!?ねえ!?しかもその重力兵器を破壊されて地球クリプトン化計画を阻止したのにゾッド将軍が普通に闘えてることなど、もうよう分からん!あれか、残り香で頑張ってたみたいな?
しかしながら、胸のSマークをエル家の紋章にしたことや、赤パンツ廃止など良い設定変更もあったりもする・・・。

そこそこノーラン風味は抑えてあったものの製作・原案を務めてるだけあってちょっと前半が長い!120分くらいに纏めて欲しかったかなと言ったところ。とは言えあの高速バトルシーンは必見なので、これまたIMAXで観ることをオススメ致します。


2013年9月11日水曜日

鑑賞録 8月 and パシフィック・リム!

ブログを更新すると一気に観覧数上がるんだけど、これってどういう仕組みなんでしょう?イマイチそこらへん分かってないでやってるからアレなんですけど、仮に気にして観てくれてる人がいたとして、「トト・ザ・ネストのブログが更新されました」みたいなアナウンスが入るんですかね?まあ、何にしても観ていただいてありがたい限りです。

今回は8月に観た今年公開の映画の感想をちょろちょろっと前回に続いて書いて行こうかなと。



〜8月〜



『怪談新耳袋 殴り込み! 魔界編<前編>』
僕は年に4本前後発表されるこの殴り込みシリーズが大好きで大好きで、新作が出る度にいくら忙しかろうとチェックは怠らないほどなんですけど、今回は!あの市川力夫が監督として降臨している!しかも今回のテーマはハードコアとか提唱している!これは期待できる!!とwktkしながら観たのですが、今回は笑いの要素が強かったなーと。こればっかりは幽霊次第と言ったところで、どちらかというとGメンの奇行に恐怖を感じました。




『怪談新耳袋 殴り込み! 魔界編<後編>』
とは言うものの、市川力夫が監督に就任したことは非常に大きく、今後のシリーズの方針そのものを変えてしまうんじゃないかと思うほど。Gメン達を徹底的に恐怖のどん底に叩き落とす彼自身、今まで散々足蹴にされてきた(個人的に一番印象にに残ってるのがヤギに髪を食われたとき)分、何をしたら一番恐いのかを理解している。鬱憤を晴らすかのように嬉々とした表情を浮かべるのが一番恐いかもしれない。
何が残念ってこれ、劇場で観れてないんですよ。いつもレイトショーだから相当上手いことタイミング合わないと観にいけないのが悔しい!



パシフィック・リム
 IMAX 3D字幕とIMAX 3D吹き替えで計2回観ました。いやもう最高ですよね。脳内が興奮しすぎて未だに順序立てて感想が書けない。いやもうほんと最高ですよね。何が最高かって僕個人としては怪獣に対する精神性が素晴らしいなんてもんじゃない。
海底から出現し、都市を次々と破壊する。やっと倒したと思ったらその蛍光色の血液は多大な海洋汚染を巻き起こし、また新たな怪獣が出現する・・・これもう世界が結託して頑張るしかないよね??そしイェーガーのパイロットも結託しなければ怪獣に勝てない。てことは?すなわちイェーガーは世界そのものであると思いました。ちみに僕が誰かとコンタクトしたらその人の夜の営みの記憶で止まってずっと抜け出せないかもなんて下衆いことを考えたり。とにかくノーラン映画の主人公みたいにウジウジ悩んでる暇はねえんだよ!!話が逸れましたが、ここまで絶対的存在として描かれた怪獣は久しぶりに観ました。オマケに登場時にひと暴れしたあと天を仰ぐように咆哮するんですよ!!?その上カテゴラリーとかいうランクまで設けちゃって・・・くううううううう分かってるデルトロ!!!!
次々と現れる展開は『怪獣総進撃』っぽいし、ナイフヘッドなんてギロンみたいじゃん!?KONAMIが現代風にリアレンジしたガメラのフィギュアがあるのですが、そのリアレンジされたギロンにそっくり!


一番好きな怪獣はオオタチ。レザーバックと共にチェルノ・アルファとクリムゾン・タイフーンをお釈迦にした強者。頭部が発光してライトのようになっている点、尾が第三の手のように動く点など、とにかくデザインが洗練されていてかっこいい。翼を広げたときのオワタ感たるや半端なかったですよね。そのまま大気圏行っちゃうし、死後はまさかの妊娠発覚!サービス良すぎやで・・・オオタチのエピソード1つでこの世界の怪獣の情報が詰め込まれていてとにかく最高でしたね〜。この文章を打ってるときも楽しいんだから素晴らしい作品ですよね。ほんとに。オオタチのフィギュア出ないかしら。
他だとライジュウも好きです。ライジュウ、スカナー、スラターンは海中での戦いがメインだったのでデザインがよく分かりませんでしたがなかなかかっこよかった。ここら辺はヴィジュアルガイドで確認したいところですが、かなち価格高騰が進んでるのでいつか必ず読んでみたいです。


吹き替えも最高でした。声優キャストの配役もこれ以上にない完璧さ。ぜひBlu-rayに収録してほしい。中でも杉田智和の「ロケットパーンチ!!」は劇場で歓声を上げそうになるほど最高。本来の技名「エルボーロケーット!!」でもそれはそれで良かったとは思いますが、これは良い改変だと思います。
ペントコスト司令官が玄田哲章ってのも説得力と威厳5割増ですよね。最終決戦直前のスピーチとか涙が溢れました。これは早く歓声を上げながら酒のんでみんなで盛り上がりながら観たいですね。
総じて僕は吹き替えの方が好きです。外国人キャストが「カイジュー」と呼ぶのは非常に燃える部分ではありますが、吹き替えの配役にやられました。
日本国民の全男子は鑑賞が義務づけれらていますから絶対観てください。2Dでも3DでもIMAXでも何でも良いです。何やら今更になって「ネット上で話題の映画!」とか世間で騒がれてるみたいなので公開期間が少し延びる可能性もあります。ぜひ劇場で観て歓喜してほしいです!


2013年9月10日火曜日

鑑賞録 7月


今年もイベント業にとって繁忙期とういものがやってきてました。お祭り、イベント、式典。疲弊に疲弊を重ねてると軒並み中止にならないかと良からぬ願望が涌いてしょうがなく、ブログ更新どころか自宅のPCの電源すら入れる機会がなくなってきて、こりゃまずいと項垂れてその繰り返しで早いもんで今年も残すところ4ヶ月。
ということで、昨年同様7月から9月現在までに観た今年公開作品の感想を。思うところはかなりあるもののひとまず簡単に。量が多いので二つの記事に分けます。



〜7月鑑賞〜


『10人の泥棒たち』
今年初韓国作品。サービス満点のこれぞエンターテイメント娯楽作!ワイヤーを使ったアクションや先の読めない良質なケイパーものでした。吹き替え版がかなり豪華だったので観れなかったのが残念です。



『インポッシブル』
ナオミ・ワッツ主演。スマトラ沖大地震をベースとして、単なるディザスタームービーに収めず、生き延びた者、生き延びられなかった者との線引きを最後の最後までブレずにやりきった傑作。ラストの3人の手元に残った物をクローズアップしたところにて号泣。僕としては今作とアニメ『進撃の巨人』第22話とセットで観ることを強くオススメしたい。ナオミ・ワッツ他キャストの体当たり演技も只々凄い。



『エンド・オブ・ホワイトハウス』
たまたまなのか何なのか、今年はホワイトハウスをテーマとしたポスト『ダイ・ハード』的アクション大作が2本公開された。その内の1つがこちら。大統領を人質に取ったテロリストに占拠されたホワイトハウスを舞台にジェラルド・バトラー演じるシークレットサービスエージェントがたった一人で挑むポリティカルアクション。楽しめたが、個人的にはこの後公開されるもう一つのホワイトハウス映画『ホワイトハウス・ダウン』のほうが楽しめた。(後述)



『サイレントヒル リベレーション3D』
「夏だしなんか怖いやつ観たい」ってことで観たのがサイレントヒルシリーズ2作目にあたる今作。しかし僕は前作を観ずに(ゲームも未プレイ)鑑賞したため少々分からないところがあった。それより気になったのが、3Dじゃなくてもよくね?ってくらい3D効果が薄味。メイクも非常に簡素でもう少し詰めたほうが・・・バブルヘッドナースは気味が悪くて良かったです。



『飛び出す!悪魔のいけにえ レザーフェイス一家の逆襲』
邦題のアナウンスがあったときから非常に楽しみにしていた一作。終盤『エイリアンVSプレデター』のようなムードになりますが、一応の筋は通っているので新鮮なカタルシスを味わいました。チェーンソーがブイイイイインと唸りながら3Dで飛び出してくるのはなかなか楽しかったですよ。



『悪魔の毒々モンスター ノーカット無修正完全版』
トロマ祭みたいな上映イベントがあって気になっていたものの気づいたら終了していたのでDVDにて。トロマ映画自体の存在は知っていたものの、今回が初見でした。Z級とか言われてますが『死霊の盆踊り』や一部の踊る邦画に比べれば遥かに面白い。こんなタイトルだが中身は意外にも一種のヒーローもの。町の悪漢達を叩きのめしていく様は笑えるし痛快。『悪魔の毒々おばあちゃん』のDVDを買って未だに観ていないが、今作がトロマ映画の良い入り口になったのは間違いないですね。



『チキン・オブ・ザ・デッド 悪魔の毒々バリューセット』
映画という巨大な産業の中にあるあらゆるジャンルを網羅した傑作。ゾンビ、コメディ、スプラッター、ミュージカル、SFに社会風刺まで入っちゃてるんだから凄い映画。どこの国に出しても受け入れてくれるはず。監督のロイド・カウフマンが最高にいい味出してます。


とこんな感じで7月に観た今年公開作品は以上です。旧作では『トレマーズ』を観ました。凄く面白かった。やっぱりケヴィン・ベーコン出てる映画は面白い。
あとDVD数スルーになった『プロジェクトX』!これもまた面白かった!!速攻Blu-rayとサントラ買いましたよ。しかしまだエクステンデッドバージョン観れてないのが悔しい!!超面白いから!『ハングオーバー!』シリーズの "エンドクレジットに一番楽しい部分を持ってくる"という発明を余すところなくPOVで追う傑作!僕は良かったけど『ハングオーバー!!!最後の反省会』に納得の行かない方はこちらをぜひ観ていただきたい!!



2013年7月17日水曜日

まさかのノンアルコール『ハングオーバー!!! 最後の反省会』



『ハングオーバー!!! 最後の反省会』(字幕) 

原題:THE HANGOVER PART3
2013/アメリカ/100分
監督、脚本、製作:トッド・フィリップス
共同脚本:クレイグ・メイジン
共同製作:ダン・ゴールドバーグ
出演:ブラッドリー・クーパー、ザック・ガリフィアナキス、エド・ヘルムズ、ケン・チョン 他

ストーリー:何かとトラブルを引き起こしてばかりのアラン(ザック・ガリフィナーキス)。そんな彼の父親が心労を募らせて急死したのを機に、フィル(ブラッドリー・クーパー)、ステュ(エド・ヘルムズ)、ダグ(ジャスティン・バーサ)はアランの施設収容を決行することに。だが、施設へと向かう途中でギャングに4人が誘拐されてしまう。困惑するフィルたちに、ギャングのボスはアランがメル友として親交のあるアジア系ギャングのチャウ(ケン・チョン)が盗んだ金塊を取り戻すよう命じる。




公開当日、109シネマズ湘南にて鑑賞。 

もともと前二作の焼き直しなのだとしたら劇場で観なくていいかなぁ程度のテンションだったんですが、長谷川町蔵さん曰く「前二作とは話の組み方も違うし、全体的にサスペンスよりになっている」とのことで、今まで劇場で観てきてるし…観客の反応と共に楽しむのがハングオーバーだし……ってことで観てきました.

ええ…もう、面白かったです!!大好きですコレ!!
予想より遥か上をいく出来で全シリーズ中一番楽しめました。と言っても1、2と構成が違うので1と3が同立って感じですが。僕的に2は宗教に対しての冒涜や、行き過ぎたブラックユーモア(特にテディの指あんななって将来はどうなるの?ってところを笑いに転換させてる点など)があって笑えるけど笑えない、というよりコレに笑っちゃう自分ダメじゃね?(でも笑っちゃう)みたいな気まずさがあるので微妙な距離感があったんですよね。


しかし!!吹き飛ぶキリン!荒ぶる軍鶏!!折られる番犬!!!
今回も動物虐待は健在!ここまでエキストリームなブラックユーモア見せられたらもういい!不謹慎とか何とかい言ってる自分がバカらしい!特に冒頭のキリンの下りは最高に不謹慎で笑っていいのかいけないのか分からないが、監督の「人間が殺されるのは平気なのに動物が殺された途端いろんなとこから苦情がくる。」この言葉の通りアランが飲酒運転をキメる冒頭でモラルもクソもないことが分かる。みんな、ここは笑っていいんだよ!と監督のブラックユーモアさが伝わってきて最高。


こちらはシャマランの『サイン』にて宇宙人に犬が殺された直後「やばくね?」と目を合わせるメル一家。ここも直接的な描写はなくやっぱり音声のみ。



んで、評価通りサスペンス色がグッと濃くなってます。なんとタイトルコールまでの間チャウの脱獄アクションなんですもの!そう、今回はチャウにスポットが当てられ、彼の犯罪者というダークサイドと孤独な男の哀愁がマジでハードボイルド!!


他にもグッと来たのが、成長したカルロス(なんとあの赤ちゃん本人!)との再開、ラストの整列式フラッシュバック!!コレだよコレが観たかった!最高!何言ってるかわからない人はぜひ劇場で!!あと対話の一つ一つ丁寧だったところ。アランがカルロスと出会い、恋に落ちて、チャウと決別し少しづつ前を見据えて生きていくことを決意する。ハングオーバーでこんなものが観れると思いませんでした。
監督も言っている通り本当に今作で完結させる気満々。だから前二作とテイストは違えど、僕は三作目にしてこの内容というのはアリだと思います。黒いダグが死ぬ瞬間から「え・・・殺しちゃうの?」と、作品のテンションが一瞬分からなくなるけど、「あ、本当に終わらせようとしているんだな」というのが分かる。最初に書いた通り前二作の焼き直しだとしたら僕はこのテンションにはなってないと思うし、観に行っていないと思う。サスペンスよりではあるもののその中にジェイドやカルロスとのないがしろにされてきたキャラクター達にも手を差し伸べて綺麗にシリーズをまとめた監督には愛情を感じました。最高です。


あと翻訳面で「おっ!」と思ったのがネトゲの友達のことをパズ友と訳してるところとか時事性高いなーと。こういうのって今後DVDやBDに収録するときに変わってくのかな?時事性があっていいと思うから一旦は収録してほしいですね。


まあ、前二作を期待しすぎるとちょっと肩透かしを食らう人もいると思うが、そういう人こそエンドロール後までしっかり観ないと損しますよ!オススメです!!


2013年5月28日火曜日

ドドメ色の少女の冒険『燃える仏像人間』


シネ・リーブル池袋にて鑑賞。あとあと知ったことだが、頭に「動く待ち合わせ場所」と書かれた手作りの被り物をしてる男性がいたのだが実は『ウルトラゾーン』の脚本の中沢健さんだったのだから後の祭り!関係者の人多いなーとは思ったがまさか中沢さんがいらっしゃってたとは!
と、まぁこの様子からも見て取れるようにこの『燃える仏像人間』に関しては完全ノーマークで前情報も入れない状態でした。たまたま5月公開予定の作品一覧を観てタイトルに惹かれてクリックしたら、こんな素敵な劇アニメーションが公開するとはっ!!といった具合です。
劇場に着くとなんと舞台挨拶とサイン会付きの文字が!「サ、サイン会…き、きき緊張やん?」と始めからサイン頂く気満々でした。
そして¥250のジンジャーエールを片手にいざ座席へ!
まず舞台挨拶。監督脚本の宇治茶さんが壇上に上がる。控えめで良い人そうな印象。退場のとき扉が開かずにおどおどし、場内を微笑みに包むというサービスまで。期待が膨らむ。


原題:燃える仏像人間
上映時間:80分

監督・脚本・作画・撮影・編集: 宇治茶
共同脚本: 中沢健
製作: 西村よしたか / 柴崎和則 / 伊藤毅彦
製作総指揮: 森田一人
出演:井口裕香、寺島農、原佐知子 etc.

ストーリー:京都で仏像が次々と盗まれる事件が発生。寺の娘で女子高生の紅子は実家の仏像が盗難に遭い、さらに両親を殺されてしまう。家族ぐるみの付き合いのある円汁の話によれば、犯人はシーダルダという盗賊集団の可能性があるという。そして、円汁の寺に引き取られた紅子は、円汁の秘密の部屋で両親と仏像が合体し溶け込んだような生命体と対面し……。



SF怪奇劇アニメーションとでも言うんでしょうか。面白かったですよ!
一度見たら忘れられないような奇怪でもありチャーミングでもあるキャラクターや世界観は漫☆画太郎風といいますか、楳図かずお風といいますか、黒坂圭太風といいますか。また『プレデター』、『エイリアン』のような生命体と機器を融合したようなキャラデザや管を多用したルックの部分は好きな方も多いのではでは?スライム上の液体を多様したゲロシーンも観てて微笑ましいんですよコレがまた。
ともかく絵力で一気に引き込むと言うのに尽きるんですが、見せ方が映画的でもあって興奮しました。色合いも濃厚で主人公の肌の色がドドメ色なのが印象強くて強くて!このまま実写にトレースしても見劣りしないほど。

あと「あなた達の無駄死にを無駄じゃなくしてみせるわ!」というセリフも良かった。「無駄にさせない!」ではなく「無駄じゃなくしてみせる!」のほうが "私が" という確固たる意志がビンビン来てかなりアガりました ええ。なんか上手く言えてない気がしますがとにかくアガったんです。ええ。

僕が一番グッと来たのは監督のキャラクターに対する愛情がヤバイ。
パンフレットを見てもらえれば分かるのですが、全キャラクター、ほんとに一瞬しかでてこないような脇役のキャラクターもしっかり解説されてるんですよ。バックボーンや劇内の登場シーンの前ではこんなことをやっていたなど。もうね、こういう誠実な作家魂を見ると心が震えるんですよね~。

 
しっかりサイン会にも参加し、「面白かったです!ありがとうございます!」と当たり障りのない感謝の意を伝えました。宇治茶監督 素朴な良い方でしたよ!今後の作品が楽しみです。


それにしても最近ノートPCの調子が絶不調なのでこの記事上げるのに再起動10回くらい起こしてるので、困ったもんです。もともとデスクトップ欲しかったので考える時期か・・・。

2013年5月16日木曜日

CINEASTE 3.0

先日5/8の水曜日、渋谷ヒカリエ 8/で行われたCINEASTE 3.0にて内藤瑛亮監督の新作『救済』と大畑創監督の新作『Trick or Treat』を観て参りました。

入場料、鑑賞料全てフリー!しかもドリンクとして缶ジュース1本付き!(ちなみに僕はジンジャーエールをチョイス)。至れり尽くせり!凄くいい企画!「これでお客さんいなかったら監督やめようと思った」と大畑監督。個人的にはもっといると思ってたんですけどねー。ざっと30人くらいでした。
映画の感想の前に渋谷ヒカリエのオサレ度の高さが気になりましたよ。いる人来る人帰る人みんなオシャレ!男はかっこいいし女の子はかわいいし、普通のパーカーとチノパンの僕としてはもう嫌になりますね!
 
 
始めは内藤監督の『救済』から上映。
『救済』は水本夏絵さんのソロプロジェクト 転校生の原案を元にした23分間の短編映画。もともと音楽×映画を目指したイベント企画(ちなみに企画者は入江悠監督)MOOSIC LABがキッカケらしく、内藤監督は始めは断ろうと思ってたとのこと。
ざっくりとストーリー紹介↓
同級生にいじめられる日々を送る女の子。ある日CDショップで万引きをさせられてる最中、ひょんなことから拳銃を手に入れてしまう。まさに「救済」してくれる相棒を手に入れた女の子は日に日にエスカレートしていくいじめっ子達をぶっ殺しに向かうが…。

まずこのいじめっ子があの『先生を流産させる会』の主演の小林香織ちゃんですよね。出てくるだけであの顔の圧力というか、ハビエル・ヴァルデムにも負けてないと思いますよ? とにかくいい感じに成長してくれてて嬉しくなりましたね。
で、今回の主演の中村ゆりかちゃんもまた美形なんだ。美形なんだけど、この世に生を受けてないあの死んだオーラも最高。拳銃が川にふっ飛んで必死に探すシーンはなんだか泣きそうになりましたよ。なんせ拳銃は彼女にとってこの地獄みたいな世界から脱する唯一の手段であり希望だったわけですからね。うん、凄くいいシーンだったな。
このシーンは原案の転校生曰く、音楽は必ずしも希望になり得るものじゃないという辛い現実を表してるもので、拳銃は音楽のメタファーなんだそうな。だからあそこで彼女は撃ち殺すことができずに拳銃を無くしてしまう。撃ち殺してしまったら方法はどうあれ、彼女は希望を手にしてしまうから。
うーむ、内藤監督のトークを聞かなかったらこの深い部分までは全く気付きませんでしたw
 

大畑創監督の新作『Trick or Treat』は映画情報番組チャンネルNECOのメインMC三人を据えた短編を撮ろうということで、ヒガリノ、フォンチー、黒田有彩を中心に描かれる復讐劇。
ざっくりとストーリーを↓
大学生の承子と結は次期首相候補の増川史郎を殺害しようと企て、その娘 美菜に近づく…。
はっきり言って個人的には『へんげ』より好きかもしれない作品でした。話の推進力が衰えない上に日数を遡って展開していくのって個人的に凄いアガる手法なんですよね。で、ほんとにキャストが魅力的でして。主演のヒガリノちゃんが梶芽衣子にそっくりなんですよ!雰囲気も何もかも狙ってるのかな?と思うほど。エンディングテーマは恨み節でも良かったかもしれない。合わないか!

恨み節貼っておきますね。
 
政治的メッセージでもある映画なのかなーと思いつつ見てると、いざ!ってときに急展開が待っていて良い裏切り行為でしたねあそこは。そこからの主人公承子の言動が最後の最後で信用できなくなる不穏なラストも好きでして。「コイツ何考えてるか分からないぞ?」とそれまで味わってきたワクワクが良い意味で裏切られて一気に遠い立ち位置のキャラクターになるんですよ。でも不気味な魅力があってそこに結構グッときました。
両方とも若手女優がすげぇ良くて、それだけで満足しました。最高!
 
ではこの辺で。

 

2013年5月7日火曜日

白目じゃなかった リメイク版『死霊のはらわた』

 


『死霊のはらわた』(字幕)

原題:EVIL DEAD
2013/アメリカ/91分
監督:フェデ・アルバレス
脚本:フェデ・アルバレス、ロド・サヤゲス
製作:サム・ライミ、ブルース・キャンベル、ロブ・タパート
出演:ジェーン・レヴィ、シャイロー・フェルナンデス、ジェシカ・ルーカス 他

ストーリー:うっそうとした山奥にたたずむ小屋を訪れた、ミア(ジェーン・レヴィ)をはじめとする5人の若者。小屋で「死者の書」という不気味な書物を見つけた彼らは、はからずも邪悪な死霊をよみがえらせてしまう。解き放たれた死霊はミアにとりつき、若者たちに襲い掛かる。おぞましい姿に変ぼうしたミアと戦いながら山から脱出しようとする若者たちだが、死霊の力によって行く手を阻まれてしまう。助けを呼ぶこともできぬまま、一人、また一人と、彼らは死霊にとりつかれ……。


109シネマズ湘南にて観てまいりました。
こないだ劇場で予告を観て「気合入ってんなー」とボーっと思ってたらもう公開へ。
劇場内ではカップルや中年夫婦や親子で観に来ている客が多く、こちらとしては僕みたいなロンリーウルフが多くいることを期待したのに残念な限り・・・。

『死霊のはらわた』と言えば言わずもがなスプラッタームービーの大傑作だが、果たしてここまでの作品をリメイクなんてできるのだろうか?結果、僕はリメイクできていないと思いました。
と、言うのも全体的にゴアにゴアを重ねたり、展開がお約束の範疇だったりと、意欲は認めたいけど全く別の作品を観ているようだったからなんですよ。それは監督の意図でもあるんですが(後ほど書きます)。

僕が気になった点が大きく二つありまして、まず一つ目。死霊の所在なし感がまるでない。オリジナルを観た方ならご存知のはずですが、死霊は死霊そのものの姿を見せないじゃないですか?現れたとしても人体を拝借するだったり、死霊目線のアングルになるだけだったりとそのもの実態があるのかないのか分からない所在なしの存在なんですよ。
それなのにですよ?リメイク版では主人公ミアが森に襲われるシーンで、謎の女がいるではありませんか。「ん?誰これ?」と思って観ているといきなり口から黒い木のツルみたいな物体をオロロロロロロと吐き出し、そのままミアのアソコにGO!!(これはこれで好きなんですが)って・・・待て待て待て待て。あれが死霊なの!?と。リメイクとは言え僕らが恐怖してきた阿鼻叫喚のあの『死霊のはらわた』の死霊はあの女なの!?・・・・・・もう僕は何も信じられなくなりましてねぇ(遠い目)。
その上、死霊の目が赤いカラコンと来た。全然怖くない。全然狂ってない。人間の目って瞳がある時点で意思を感じてしまうと僕は思っていて、オリジナル版の死霊は全員白目で狂いに狂っていて次に何をしでかすか、どこから出てくるか、分からないから今見ても怖いんじゃないですか?
監督のフェデ・アルバレスは「オリジナルのアイデンティティーをベースとして全く新しい映画を作る気でいた」と語っていますが、だったら・・・だったら白目にしようよと思いましたね。そこはアイデンティティーの一つなのでは?と思えて仕方がなかった。白目にすれば所在なし感も増すと思うんだけどなー。


二つ目、なんかゾンビみたい。
なんか死霊の登場の仕方がゾンビみたいなのが気になった。オリジナル版の死霊たちはとにかくエキセントリックな動きと登場仕方で僕達を楽しませてくれたけど、リメイク版は最初はいなかったのにカメラがパンすると後ろに立ってぼーっとしてたり、ノロノロ動きながら釘打ち機をピシュンピシュン撃ってきたり「んーーーなんか死霊じゃなくてゾンビみたいだなー」と観てて眉をひそめてしまった。

好きなところも結構あったり。
冒頭、森が天地逆さまになっててるのは『デビル』っぽくて期待を煽るし、肉きりチェーンソーで腕を切り落としたと思ったら筋一つで繋がっててブチっと落っこちたり!
あとナタを手に取ろうとしたところで「えーナタなのー?」と思った瞬間にその上の棚にチェーンソーがあったりだとか!
血ゲロぶっかけるシーンは『スペル』っぽいなーと思ったり、血の雨の中で死霊ぶった切りシーンとかね。しかもあのミア役の人耳に血の雨が入って感染症になっちゃったとか。
ミアが水面を移動して迫り来るシーンはそれなりだけど、お約束っちゃお約束。ビオランテのそれには及ばず(比べていいものか・・・)

 
『ゴジラVSビオランテ』の予告編貼っておきますね。ビオランテの移動シーンも入ってます。



『ゾンビ』、『13日の金曜日』、『悪魔のいけにえ』など数多くの名作ホラーがリメイクされきてましたが、今作は成功してると思います。ただ『死霊のはらわた』のリメイクではなく、名作ホラーのリメイクとしてです。
現代の技術やスタッフを使って焼きなおすだけではなく、あくまでオリジナル版のストーリーやアイデンティティーをベースとして全く別のものをCGなしで、笑ってしまうほどのゴアで世に出してくれた熱意は嬉しい限りです。


今作で一番好きなシーン。あーだこーだ言っても忘れられないシーンがあるというだけでぐっじょぶです。
血の量ではオリジナル版には負けてないのでオススメです。

2013年4月15日月曜日

Dir en grey 『THE UNRAVELING』が素晴らしい。


Dir en greyの新譜『THE UNRAVELING』が素晴らしい。



02年発表の『six Ugly』以来、実に11年ぶりのミニアルバム。しかも新曲1つを除いて全てが再構築楽曲といった革新的な内容。
彼らが再構築と謳って初めに手がけたのは『DOZING GREEN』収録の『HYDRA-666-』。まあ正確にはそれこそ『six Ugly』収録の『秒「」深』と『children』であるはずなんだけど。今の彼らのアプローチでは『HYDRA-666-』であると思われる。そこから新作を出すたびに何らかの形で再構築楽曲を増やしていってはいたがここに来てミニアルバムとは本当に読めないバンドだな と。
そもそも再構築ってなんぞ。再録と違って曲そのものの構成や詩を作り直し、でも原曲のエッセンスを残しつつ別の楽曲に昇華させるといったところかな と。楽曲によってその振り幅は異なるが、砕けた表現をすると、要は「今の俺らであのときの曲やったらどうなるべかね!?」ってこと。

この再構築の歴史を見ると結成初期から『THE FINAL』までの楽曲らが選ばれている。
序章となったのは『秒「」深』(原曲は97年発表の『MISSA』収録)と『children』(原曲は00年発表の『太陽の碧』のカップリング)

第一弾は『HYDRA-666-』(原曲は00年発表の『MACABRE』個人的には一番の傑作アルバム)
666の表記はオーメンみたいに三角形の中に6が3つ収まるような凝ったもの。重苦しい緩急により原曲とは全く異なるアプローチが取られている。

第二弾は『undecided』(原曲は02年発表の『鬼葬』収録)
原曲よりストリングスが強調されサウンド的にかなり洗練されている。

第三弾は『残』(原曲は99年発表3枚同時シングルリリースの一つ『残-ZAN-』)
ファンの間ではこの選曲は大変嬉しいものだった。今の彼らが『残-ZAN-』をやったら!?その憶測は散々飛び交っていた中での再構築。出来は非常に高評価でライブでは定番になるほど完成されている。90年代ヴィジュアルシーンのタイトル表記の中で流行った、漢字1~2文字の後ろにローマ字で読み方を表記する手法。再構築するに当たってその表記が削られているのも期待が高まる要因の一つでもあった。

第四弾は『OBSCURE』(原曲は03年発表の『VULGAR』収録)
こちらもライブでは定番の楽曲だが、評価は今一つで原曲にあったようなメロディアスな部分が削られており、且つテンポを早めた影響か重苦しい和と罪深い背徳感とグロを上手く掛け合わせた世界観が抑えめになっている。

第五弾は『蜜と唾』(原曲は99年発表の『GAUZE』収録)
本来の表記は「つみとばつ」と読ませる為、反転している。『DIFFERENT SENSE』に『罪と規制』というタイトルで収録されたがこちらは歌詞が規制されているもの。後にライブ会場限定で1曲入りのシングルが発売されている。

第六弾は『羅刹国』(原曲は00年発表の『MACABRE』)
さらに無駄な部分をそぎ落として重くソリッドな仕上がりに!と言ってもそこまで目だった改変はない。

第七弾は『霧と繭』(原曲は97年発表の『MISSA』収録)
『HYDRA-666-』並みの変貌っぷりである。全体に言えることだが突如聞きなれたギターリフやメロディ、歌詞が耳に飛び込むまでは完全に新曲を聞いている感覚である。

そして今回の『THE UNRAVELING』
『業』、『かすみ』、『鴉』、『Bottom of the death valley』、『Unknown.Despair.Lost』、『THE FINAL』、『MACABRE』である。ファンなら誰でも驚いたであろうあの『業』が選ばれている。インディーズ時代のビデオクリップ集にしか収録されていない曲で僕もYouTubeで数回しか聴いたことがなかったので正直忘れてしまっていたほど初期の楽曲である。原曲より遥かに完成度が高く、何より初期の頃にあったようなクセのあるメロディが生きていて現在の彼らに受け入れられているということが嬉しい。ちなみに「カルマ」と読みます。

『かすみ』に関しては大きな改変はないが、京の歌い癖を極力抑えていて非常に聴きやすくなっている。個人的には『かすみ』が持つ世界観を頭の中で情景を思い浮かべたときに空まで明確にイメージできたことが大きい部分だと感じた。まああくまで個人の想像力の領域の話だけど。

『鴉』。これは上位に入るほど好きな楽曲だっただけに聴くのが怖くて最後に聴きました。問題はラスト。溜まっていた悪しき性欲が溢れ出るが如き流れるような怒涛の大サビ。変わるならあそこだろうと思っていたが、さすがはDir en grey新たな『鴉』の像を作り出してくれた。

『Unknown.Despair.Lost』も『業』と同様、「バラバラにしてみようか」「火をつけて混ざり合う」等のメロディがかなり残っていて嬉しかったな。最後の転調とか気持ちいいし。「inside ヒューマンボイス」とか無くなるかと思ったんだよね。ちょっとここまで残してくれるんだったらぜひ『-I'll-』の再構築を!!!

『THE FINAL』今回、メロディアスな曲はほんとに歌い癖を極力抑えてるんですよね。あとギターソロとかも増えててメンバーのやりたいことが見え隠れしてて面白い。それにしても名曲だわコレは。

『MACABRE』完全生産限定版にしか収録されてない問題児。正直コレは再構築する必要なかったのではと!原曲からして既に完成されてるし・・・実際メンバーもそう言ってるしね。でもこれがまた良いんですわ。既に完成しているものを存在しないもう一つ上の完成領域に持っていくとは本当に最高なバンドです。ぜひライブで聴きたい。


Dir en greyはライブで過去の楽曲をやることはさほど珍しくはない。その都度、現行の世界観とスキルを持って披露してくれる(『腐海』なんか良い例)。再構築楽曲はいわば各楽曲達の一つの完成形である。故に再構築された楽曲は原曲のアレンジでは二度と披露されない。そこに再構築楽曲を楽しめる要素と期待と不安が入り混じるDir en greyというバンドが歩んできた歴史に比例した一つのコンテンツなのかもしれない。


次回はどの楽曲なのか期待と不安がスパイラルしてますが『脈』、『THE 3D EMPIRE』等、あと1~2年もすれば『Withering to death.』時代にも手を伸ばしてくるだろうし、まあ今はこの『THE UNRAVELING』を聴き倒すのが先決ですかね。
あ、新曲の『Unraveling』もかなり新しいアプローチで面白い楽曲なのでほんとに全てオススメよ!

2013年3月25日月曜日

菅野美穂とジャンゴ・・・菅野美穂と・・・堺・・・雅人・・・


今朝、飲酒運転がバレて警察に「罰金80万円ね」と言われた夢を見て泣きながら目覚めた僕です。皆様いかがお過ごしでしょうか。

先日……菅野美穂が…結婚…しましたね。僕は菅野美穂が好きで好きでしょうがなかっただけに今は内臓全部摘出された気分です。


その理由は二つ。
まず僕は現時点で結婚というものに嫌悪感を抱いてるということ。もうこれはどれだけ考えても言葉で上手く表現できないのですが、『先生を流産させる会』の女子達が言う「先生 妊娠したんだって…気持ち悪くない?」に集約されてると思う昨今。なのでそれを菅野美穂がしてしまったというところが………おーん。
そしてもう一つ。お相手が堺雅人ときた。そこはまぁいい。僕が嘆いているのは三ヶ月で結婚という見切り発車感。大丈夫?菅野美穂が離婚なんて、それこそ一番起きて欲しくない事態ですよ?堺雅人頼むぜマジで。

ここまで大きい心は持ち合わせてないが こんな気分

でもあの二人なら感性が合いそうだから上手くやっていけっかな…とか僕の中でのセンセーション過ぎる一大事についてもう考え疲れ果てました。
いやーでも、ダメもとでも研音のマネージャー募集に応募すれば良かったと思う。人生やりたいことはやるべきね。

ところで。先日109シネマズ湘南にてコチラを観ました。


『ジャンゴ 繋がれざる者』(字幕)
 

原題:DJANGO UNCHAINED
2012/アメリカ/165分

監督・脚本:クエンティン・タランティーノ
製作総指揮:シャノン・マッキントッシュ、マイケル・シャンバーグ、ジェームズ・W・スコッチドポール
、ボブ・ワインスタイン、ハーヴェイ・ワインスタイン
出演:ジェイミー・フォックス、クリストフ・ヴァルツ、レオナルド・ディカプリオ、サミュエル・L・ジャクソン 他

ストーリー:1858年、アメリカ南部。奴隷ジャンゴ(ジェイミー・フォックス)は、賞金稼ぎのキング・シュルツ(クリストフ・ヴァルツ)の手によって自由の身となる。やがて2人は協力し、次々とお尋ね者たちを取り押さえることに成功する。その後、奴隷市場で離れ離れとなってしまった妻を捜す目的のあったジャンゴは、農園の領主カルヴィン・キャンディ(レオナルド・ディカプリオ)のところに妻がいることを突き止め……。



凄く面白かった。面白かったが、正統派ヒーロー過ぎて同じ方法論(史実の暗部を描きつつその被害者達に復讐させる)である『イングロリアス・バスターズ』の方が自分には合ってるかなと。『イングロ~』はとにかくタランティーノ特有の無意味で長い会話に意味を持たせて尚、ストーリーの推進力にも昇華させているタランティーノの新たな段階の作品だと思うんですね。
『イングロ~』はフランス語、ドイツ語、英語、イタリア語の4つの言語が飛び交う言語サスペンス。それにに対し『ジャンゴ~』は話術と法を巧みに駆使し、主人公がそれらを通して話術を修得するという言語活劇。
何で『イングロ~』の方が自分に合ってるかというと、主人公達のバスターズの面々が結構ダーティな奴らの集まりなんですよ。ナチをボコボコにしてぶっ殺すという志の下にね。そういう奴らの殺気がムンムンに漂う無鉄砲な活躍の方が僕的には好きなんです。ブラピやタランティーノが「ドイツ人は生まれながらに過去の悪しき歴史を背負っている。でもこの映画を観て「こういう作品をやっと楽しめるときが来たんだ!」と歓喜してくれているのが凄い光景だった。」と語ってたのも胸が熱くなるんですよね。あと単に逃げ場のないナチ共を徹底的にぶっ殺すシーンがあるからです。ヒトラーが文字通り蜂の巣になるのは最高。あと何と言ってもクリストフ・ヴァルツですよね。あの上品な悪ってのは観ててウットリしてしまいます。『おとなのけんか』でも携帯が鳴るだけで爆笑という珍芸もかましたり本当素晴らしい俳優だと思います。

仕込んであるデリンジャー銃の音が超かっこいい。サントラにも収録されてるのでぜひ聞いてみてください


一方の『ジャンゴ~』はストレートな正統派ヒーロー。ジャンゴもシュルツもバウンティ・ハンターとして人をぶっ殺しはしますが、それも合法。その直後シュルツが「はーいみなさん落ち着いて下さーい!はいちゅーもーく!コイツはあなた達をずっと騙してたクソ野郎です。オマケに賞金首ときて、我々バウンティハンターを邪魔するのは罰せられまーす。はい文句ありますかー?」とその場を制圧。俺らは法で守られとるんじゃ!ワショーイ!!みたいな。これはこれで気持ち良くて面白いんですが『イングロ~』のフルボッコ感を観てる身としてはちょっと、ちょーーーーーっとだけ物足りないかな??と思ったり。目的としては、ジャンゴはディカプリオ演じる農園領主カルビン・キャンディに奪われた妻を奪還する為、シュルツはジャンゴを自由にした責任としてジャンゴとタッグを組んで奪還作戦を結構する。この人達超善人だから、主人公に対する目線が一本道なんですよね。ちょっと距離置いて俯瞰して見たりっていうのも映画の面白いとこじゃないですか?だからそういうとこなんですよねー。
まぁでも、後にKKKになるであろう集団(何気にジョナ・ヒル!)の間抜けっぷりとか、サミュエル・L・ジャクソンのめんどくささとかマザファカとか、ディカプリオのエセ骨相学を利用した黒人大差別のねじ曲がりっぷり!お前ほんとクソ野郎だな!そりゃ温厚なシュルツも我慢できねーわ!!!とかとかいろいろあるんですよ。事前にサントラ聴き込んだり『マンディンゴ』観たりで結構楽しめたのは事実。とにかくジャンゴのテーマが良すぎるじゃないですか??ジャンゴ~♪ ねぇ???
とにかく!『イングロ~』から続く史実に基づく大復讐シリーズの第二弾として今観に行っておいて損はない作品です!オススメ!

「名前は?」 「DJANGO Dは発音しない」 「・・・知ってるよ」 このフランコ・ネロとのシーンはアツイ!
 
 
 

 
 
胸躍るメインテーマも貼っておきます。