2013年10月22日火曜日

『凶悪』と『死霊館』



最近思うのは堺雅人が絶好調すぎること。
『半沢直樹』は流行語を生み、新作『リーガル・ハイ』の第二シーズンも水を得た魚の如く調子がいい。オマケにトヨタのCMにソフトバンクのCMときた。これはもう、菅野美穂がアゲマンということの証明に他ならないでしょう。本当に幸せな生活を送ってらっしゃるんでしょうね〜。なんの話なんだか。



こないだ『凶悪』を観たんですけど、傑作でした。実は気合い入れて記事書いてたんですが、何故か消えちゃいまして・・・。もう一度初めから打つ気力と時間はもうないので、断腸の想いでここでさらっと書きますが、主要キャストの山田孝之、ピエール瀧、リリー・フランキーの三人を揃えた時点でもう間違いないんですよ。
山田孝之演じる藤井がリリー・フランキー演じる木村が第一の殺人を犯しているところに遭遇する→そのまま7年前に飛ぶ→そのまま現在へと時が追いつく。とにかくこの時系列の飛び方が素晴らしくエキサイティング。7年前に飛ぶシークエンスから主人公の藤井が不在のままジェットコースター級の犯罪祭にいつの間にか観客側も凶悪さに麻痺してしまう。そこから、藤井が木村をパパラッチする対峙シーンで初めて「やば・・・俺今の今まで完全に楽しんでた・・・」とハッ!とさせられる。
よく『冷たい熱帯』と比較されがちですけど、僕としては園子温独特の詩的表現が多い『冷たい〜』より仕上がりがソリッドな今作のほうが好きですね。


山田孝之の眼力とすり減り具合がサイコー

あとジェームズ・ワンの新作『死霊館』も観ました。これ実話ベースなんですがなかなか恐かった。僕も霊感あるほうなんですが、「暗闇に誰かいる・・・!」という"そこにいる何か感"が超リアル。「あーこういう感じこういう感じ!」と観ながら頷ける部分が多かった。『インシディアス』は前半は良かったんですが、後半とのトーンが違いすぎて着いて行けなくなったりもして。一番恐かったのが洗濯物が風に飛んだと思ったら一瞬人形に浮き上がってまたバーっと飛んでいったシーン・・・恐かった。しかもウォーレン夫人が地下に落ちるシーン以外がほぼ実際に起きたことと言うんだからこれまた恐ろしい。
僕の中でジョーイ・キングちゃんが怯えるシーンが凄くお気に入り。というか最近至るところでジョーイちゃんを観るんですが、結構好きです、あのクシャっとした顔の感じ。今後も楽しみな女優の一人。
同じ実話ベースでエクソシストがテーマの『ポゼッション』も観たのですが、あちらは少々オカルト色が強くて『死霊館』のほうが好きですね。

40年前でありながら、カメラや録音機を使う非常に近代的な技法で霊と闘っていたウォーレン夫妻


早いものでもう10月半ば。今年公開の映画がぞくぞくとレンタルやセルで出てるので、追うのが大変で大変で。その一方でジョン・ランディス著の『モンスター大図鑑』や、GTA5、先日行われた第四回高校生RAP選手権など、楽しいことが一杯。だが消化する時間がないんですが、少しづつやっていこうと思います。

2013年10月1日火曜日

POVの最終到達点!『クロニクル』





『クロニクル』(字幕)

原題:CHRONICLE
2012/アメリカ/89分
監督:ジョシュ・トランク
製作:ジョン・デイヴィス、アダム・シュローダー
脚本:マックス・ランディス
出演:デイン・デハーン、アレックス・ラッセル、マイケル・B・ジョーダン、マイケル・ケリー 他

ストーリー:ある日謎の物体に触れた高校生のアンドリュー、マット、スティーブは超能力を身につけ、その模様をカメラに記録していく。超能力をイタズラに使用する日々が続くが、ある事故をきっかけにその生活は一変していく。



POVの最終到達点と言っても過言じゃない傑作

最終到達点ってどこが?って話なんだけど、大きく二つの問題をクリアしてるとこにあって。
まず一つが『ブレアウィッチ・プロジェクト』や『クローバーフィールド』や『REC』など、数々の名作が生まれていく中で、どうしても腑に落ちないのが、なぜどんな危機的状況でも撮影しているのか?とういところ。撮影云々の前にカメラをずっと持ち続けてるのがね。もう一つが必ずアングルが固定されてしまうところ。撮影者が鏡越しにしか映らなかったり、落としたらもう動かないなど、かなり制限される。
今作はその二つの見事にクリアしているんですよ。超能力で手持ちカメラを浮かせることでアングルやカットの自由度も上がっているし、手持ちカメラだけじゃなく街中にある監視カメラ、野次馬が撮ってる携帯のカメラなどありとあらゆるカメラに切り替わるので演出の幅もグッと広がっているんですね〜。
だから今作でしか観れない映像、例えば雲の上でキャッチボールしたり、塔の上で語らってるところを俯瞰したりこれだけでも必見。


さらにメインキャスト三人の雰囲気が最高で、凄く微笑ましいんですよ。特にデイン・デハーンが物凄く良い。高校生三人が超能力(主にサイコキネシス)を持ったらどうするか?スカートめくりからイタズラ、空を飛んで世界旅行など。ここら辺の行動心理に無理がなく、少しづつ不穏な展開に向かうのは1秒足りとも退屈させない。
ちょっと違うが『マン・オブ・スティール』が消化不良だった人はコッチがオススメかも。自分の居場所を求めて足掻く高校生が超能力を得たことで生まれる新たな友情や希望や葛藤を通してある種のヒーロー誕生譚としても楽しめる。


監督も公言しているように『AKIRA』や『キャリー』などに影響を受けているらしく、それはアンドリューが病気の母を救うために出る行動から顕著に表れてくる。特殊能力を手に入れてしまった者の末路としてしっかり描けていると思う。その先には、それまで観てきたメインキャスト三人の心地よい演技アンサンブルがあってこその物悲しいカタルシスが待ってるんですよ。僕もああなったら友人の希望は叶えてやりたいです。


首都圏内二週間限定公開という非常に勿体ない興行だが、ぜひ今観に行って欲しい。よく別料金で¥1000ジャストだし。

そして既に発売しているUK版Blu-rayには、なんと日本語字幕と日本語吹替(!)が収録されてるってんだから文句のつけようがない!http://www.fantasium.com/detail.phtml?ID=SCI89889 …