2014年12月8日月曜日

気配りが行き届いてる『ショート・ターム』



『ショート・ターム(字幕)

原題:Short Term 12
2014/アメリカ/97分
監督:デスティン・ダニエル・クレットン
製作:フレデリック・W・グリーン、ダグラス・ストーン、デヴィッド・カプラン 他
脚本:デスティン・ダニエル・クレットン
出演:ブリー・ラーソン、ジョン・ギャラガーJr.、ステファニー・ベアトリス 他

ストーリー:問題を抱える子供のためのグループホーム「ショートターム12」で働くグレイス(ブリー・ラーソン)。グレイスは、新入りのジェイデン(ケイトリン・デヴァー)という少女を担当することになる。グレイスは施設の同僚メイソン(ジョン・ギャラガー・Jr)と付き合っていたが、ある日、妊娠していることが判明する。そんな中、グレイスはジェイデンが父親に虐待されていたことに気付き……。




Rotten Tomatoes他多くのレビューサイトで高評価を受けている本作・・・の割には 周囲の映画ファンからの話題は上がらなかったので、かなり気になってました。オマケに主演のブリー・ラーソンですが、"メリル・ストリープ、ジェニファー・ローレンスの系譜を継ぐに充分な名演技!"とありましたので余計にっですね。いつもの如く109シネマズ湘南にて観て参りました。

いやー、いい映画でしたよ。

絶対観に行くという決意のもと、『エクスペンダブルズ3 』を観賞したときに先行して特典付きパンフレットを購入していました。ちなみに特典あ劇中に出てくるニーナの物語を小さなノートにまとめたもの。もう一つの特典としてトートバッグを選ぶこともできました。


特典の絵本はこんな感じ


中はこんな感じ


今まであまりスポットがあたらなかったであろう児童養護施設を舞台にしたヒューマンドラマ と言えば説明は簡単だが、ここで登場する多くのキャラクターも施設も環境も実在するということが を踏まえなければいけない気がしましたね。
物語は父親に虐待を受けた過去を持つグレイス と問題を抱えた少年少女(と表現すると彼らに怒られてしまいそうだが)が軸となって進行していく訳だけども、もの凄い実在感なんですよね。手持ちカメラで施設内を映す感じはドキュメンタリー風だし、小さなクセやしぐさが「こういう人いる!」と余計にそう感じさせる。

主人公のグレイスは不安を感じると親指の爪の端を人差し指でカリカリとかくクセがあったり、父親からDVを受けている ジェイデンもまた手を自傷するクセがあったり、サミーのダイナミックな脱走癖であったり、それらを画面のさりげない部分に自然かつ絶妙に置く繊細さとタイミングの良さに気づくとハッとさせられるんですよね。特にグレイスとジェイデンがお互いを理解しつつある段階で、グレイスが足をズタズタに切り刻んでいた過去を明かす場面は秀逸。親指のクセを見せておいてからのその描写は「あっ、自傷行為からは完全には抜け出せてはいないけど、親指のクセはせめてもの現実逃避をする手段なんだ・・・」と一発喰らわせられる。メイソンに妊娠を明かす場面では親指に絆創膏をして変わろうとしている描写が見られたり、凄く細くて的確な画面内気配り!!

僕が一番グッと来たのはキース・スタンフィールド演じるマーカスが自分の境遇をラップで訴えるシーン。なかなか自分のことを話さない彼がラップで初めてその苦しみを打ち明ける屈指の名シーンだと思います。しかもエンドクレジットでそのラップと対になる希望に満ちたラップが聴けますので、すぐ席を立たないでくださいね。
キースは映画初出演ですが実際にラッパーとしてMOORSというバンドで活動してるのでぜひチェックしてみてください。曲もめちゃくちゃかっこいいです。



一応MV貼っときます


監督の経歴や今作の製作にあたって興味深い対談がありますのでぜひ!
劇中に出てくるメイソンの里親の出自や日本と海外の施設の違いなど勉強になります。


余談ですが、上映後にいきなり抽選会が始まって、ステッカー(?)とTシャツを1名様づつプレゼントという催しものが始まって、僕的には全く知らなかったし当たりもしないだろうと帰り支度を進めていると、「i列10番の方!」「・・・私だっ!!」
まさかのTシャツ当選。それがコチラ。


メイソンが描いたグレイスの似顔絵Tシャツ。薄手で夏にはぴったりです。ありがとう109シネマズ。ちなみにパンフレット特典のトートバッグも同じデザイン。
後々調べたら、その日その回しかその企画やっていなかったみたいで実にラッキーとしか言いようがなく、妙にグッズが豊富になり思入れの作品となりました。


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