2015年2月13日金曜日

仮面ライダー(スカイライダー)に登場する怪人が面白い件

先日、スカイライダーを主役とした昭和ライダー6作目にあたる『仮面ライダー』を久しぶりに観ました。すると登場する怪人が個性豊かで「こんなに面白かったっけ?」と驚いたのでその怪人を中心にこの『仮面ライダー』を紹介したいと思います。

まず大まかなストーリーですが、キャンプ中に何者かに友人を殺された筑波洋は謎の志度博士と出会い、ネオショッカーの存在を知る。筑波はネオショッカーを追跡する中、ガメレオジンの攻撃で瀕死状態に陥るが志度博士の提案により改造手術を受け、一命を取り留める代わりに仮面ライダーとなる。もともとネオショッカーを裏切ろうとしていた志度博士の策略により筑波は基地を脱出し、激闘の末ガメレオジンを撃破する。巨悪と闘うことができる力を授かった筑波は志度博士と協力し、ネオショッカー壊滅を目指す。

『仮面ライダーストロンガー』にて一旦区切りが付けられた仮面ライダーシリーズだが、原点回帰という形で新シリーズが製作され、その為タイトルも『仮面ライダー』となっている。一般的に区別する際はスカイライダーという呼称が用いられる。
敵組織もシリーズ一作目に登場したショッカーの名を引き継いだネオショッカーという組織が登場する(直接的な関係は恐らく無い)。

一番の特徴はセイリングジャンプという飛行能力がある点で、劇中ではなかば反則的に使用される。また専用バイクのスカイターボに乗り壁をぶち破るライダーブレイクという技もある。必殺技は空高くから繰り出されるスカイキック
シリーズ第一作目(本郷)からあった改造人間故の苦悩はあまり描かれず、第一話ではむしろ悪と闘える力を得たことを喜ぶシーンもある。変身ポーズは敵を攻撃する型がたまたま変身に必要な動きだったという平成シリーズも見習って欲しい納得具合になっている。

以上が『仮面ライダー』の大まかなあらすじと特徴。ここからは各話に登場する愉快な怪人達を紹介したいと思います。
以下、めんどくさいので略称にします。
ネオショッカー・・・NS
幹部ゼネラルモンスター・・・GM


それではどうぞ!






ガメレオジン
第1話に登場したカメレオン型怪人。記念すべきNS怪人第1号。元の被験者は不明。得意技は長い舌による攻撃と風景や人間に成り済ます迷彩能力。任務は脱走した志度博士を連れ戻すこと。

登場時の演出がなかなかに怪奇ドラマ風(楳図かずお風でもある)で原点回帰の名に相応しい活躍をした。NSに絶対的忠誠を誓い、志度博士に瀕死の筑波を改造人間にしていいか頼まれたときは「むむむ、そんなん言われても俺の一存では決められないな〜」と値切りを迫られたアルバイト並の対応をする。
言葉遣いが巧みで志度博士の助手に成り済まし「お前の腕の中にいるぞ」や、 「話し合いは終わりだ。これからは・・・殺し合いだ!!」など怪人の台詞にしては斬新なものがあり見ていて飽きない怪人である。声も蜘蛛男を意識してるのか少し似ている気がします。
最期はスカイキックを食らい「ここはNSの処刑場だ。俺も死んだがお前も死んだっ!」と最期まで「言葉」を重んじる怪人であった。ちなみにその直後処刑場は爆破されるがセイリングジャンプで難なくライダーは脱出する。





クモンジン
第2話に登場したクモ型怪人。NSがストックしてある改造人間用被験者の一人が自ら改造手術を志願したことで誕生した。得意技は蜘蛛の巣。任務は運動神経の良い被験者を確保すること。
初めは筑波に襲いかかったがライダーに変身するや否や戦闘員を静止し「悪いな!俺改造人間成り立てだから、あんたが改造人間だと気づかなかったわ!改造人間ミンナトモダチ!」と気の良い一面を見せるが、確保した被験者をライダーに連れ戻されてからは敵対するようになった。その後筑波を窮地に追い込むがGMに「わしに任せろ」と言われ「大丈夫っすか?あ、じゃあ被験者探しでもしてますわ」と臨機応変に別の仕事に入る熱心さも。
他にも確保した被験者に説教したり、ストーリーの滞りを察知すると制限時間を設けたり何かと気の利く怪人である。
最期は蜘蛛の巣を逆に食らって動きが鈍くなったところにスカイキックを食らい断末魔もなく絶命。ちなみに彼が説教した被験者は人生に絶望していたが、最期には立ち直る事を決意する。悪事を働くも根は筋が通った怪人だったのだろう。




コウモルジン
第3話に登場するコウモリ型怪人。元の被験者は不明だが普段は公園の管理人に化けている。得意技は何でも溶かす毒液と小型コウモリ爆弾と動きを操る笛を用いた攻撃。弱点はフラッシュなどの強い光(昼間でも行動しているので判定は微妙)。任務は子供の血液から作る毒ガスの材料=子供をさらい集めること。
噛み付きはするものの、コウモリの「吸血」という一番の持ち味を発揮しない不遇な怪人であるが、NS初の冷酷非道な性格。任務対象である子供には一切容赦はしない上、目についた犬までも抹殺する。空中戦には絶対的自信を誇っていたが、最期はセイリングジャンプを決めたライダーに面食らってスカイキックを食らい絶命する。




サソランジン
第4話に登場するサソリ型怪人。元は行方不明になった上村美也という女性。GMの通信命令でのみ行動し、行動時の意識はない。 得意技は頭の毒針と何でも溶かす毒液。任務はロボット工学の権威である本田博士の研究内容をNSに持ち帰ることとNSの参入を拒む石渡博士の抹殺。
誘導改造人間という新しいギミックを用いている点を見るとNSも日夜研究を重ねているに違いないが、そうまでしないと動かない雑な改造手術だったのだろうか。
命令受信用のペンダントを付けているお洒落な怪人であり、ペンダントを体から離すと暴れ狂って上村美也の姿に戻り、数時間置くと怪人に戻るという全体的に非効率な怪人である。だがその後は怪人のまま上村美也の自我が目覚め、GMに復讐を試みるが戦闘員の矢に撃たれ絶命という悲痛な末路を辿る。

ちなみにNSが上村美也を改造する際にGMがハァハァするというのは名シーン。
普通に美人なので可哀想ですね。悲哀に満ちた怪人です。









ドクバチジン
第5話に登場するハチ型怪人。元の被験者は不明。得意技は爆破する針とめまいを引き起こす毒針(毒ではない)。任務は航空機行方不明事件を装い、乗客及び乗組員を被験者として捕獲し、その中の田代博士の研究をNSのものにすること。
腕をブンブン振り回しながら襲いかかる登場シーンはとてもシュール。性格はコウモルジンに続く冷酷非道。田代博士の娘を人質に取り、基地内にある人間大のスズメバチの巣にぶち込もうとする。てか寧ろそっちの方が強いんじゃないかと思うが、そこは理知的なNSなのでそんな無謀なことはしない。
最期はスカイキックを食らい、殺虫剤をかけられたゴキブリの如くジタバタともがき絶命。全体的に薄味な怪人となった。ちなみにこの回では運転が荒いドライバーに対してただの戦闘員がカメラ目線でキレるという珍シーンがある。




キノコジン
第6話に登場するキノコ型怪人。元の被験者は不明。300年の歴史を誇る謎のキノコをベースとした改造人間。得意技は口から放出する死の胞子(放出時の効果音がディオ顔負けのズキュゥゥゥウウンである)と連続キノコ返し。任務は仮面ライダーの抹殺。
第6話にしてついに仮面ライダー抹殺を目的としたストーリーが展開される。「最強の改造人間」と謳われ、『ミスト』の如く霧の中から登場するシーンを経てその活躍 を期待されていた。筑波の知人の看護婦に化け隙を付く作戦を決行し、胞子の幻覚により筑波を海へ沈めようとするも胞子が波に流されるという大失態を犯す。そして「お前水中でも変身できたんか!」と心の声が漏れてしまう。
最期はアクロバットな連続キノコ返しを9回も披露するも全く効かず、スカイキックによって絶命 する。
また、この回に登場する戦闘員も優秀で筑波の変身ポーズ中に攻撃をするという型破りな行動に出る。その為、消化器で応戦するという苦戦を強いられた。





カマギリジン
第7話に登場するカマキリ型怪人。元の被験者は不明。得意技は両手に持つ鎌による攻撃と必殺技カマキリブーメラン。任務はサタンカマキリの卵を孵化させ日本中を殺戮の恐怖に陥れること。
この回ではついにNSがグローバルな活動をしていることが判明する。フランスの首都パリにてヨーロッパ連絡会議を開くというセンスの良さ 、モスクワ、北京、エジプト、インド、フランス、ポーランドの各支部長が出席するなど、上場企業より儲かっていそうである。日本には仮面ライダーがいるため成績不振であることを打破する為、ヨーロッパからの刺客として送られるのがカマギリジンである。
NS(日本支部)初の武器を持つ怪人で鎌を両手に持っている。そしてなんとこの怪人、サタンの神に祈りを捧げるエセサタニストでもある。祈りを捧げる際には「ソドムアシュライシュタルアスタロトベルゼブブ・・・」と神の名前を羅列しただけの祈りを捧げている。これはグローバル化を意識した試みなのだろうか。
最期は渾身の必殺技カマキリブーメラン(十字架の形で鎌を持って回転して近づくだけ )を披露するも足ばさみで止められてしまい、スカイキックを食らい絶命。
ヨーロッパ産の怪人だけあっていろんな意味でかなり尖った怪人であり、どうせならサボテグロン並の活躍が見たかった。





ムカデンジン
第8話に登場するムカデ型怪人。元の被験者は不明。得意技は破壊ガスと体内のムカデ状の武器を操ること。任務は改造手術中に脱走した被験者 新藤まこととNSに出資しない村上頭取を抹殺することと東北ダムに猛毒ムコロンを放ち東京都民を壊滅に追いやる事。
ライダーを倒すことを入れると実質四つの任務を掛け持つ多忙な怪人。その割にはダイナマイトやロープや赤外線や自動追尾マシンガンを用いたトラップを 駆使し、必要以上な戦闘は避けるなどなかなかの策士と言え、その為任される仕事も多いのだろう。実に信頼されている怪人である。
実はライダーと協力していた新藤まことがムカデンジンであることが終盤で明らかになり、最期は自分のムカデ状の武器が体に絡まり、スカイキックを避けきれず絶命する。
有能なムカデンジンも死んでしまっては無能と見なされ、最終的にGMから「ムカデンジンだめだアイツ。仮面ライダーが仲間だったらなぁ。」と言われる始末。NSには間違っても就職したくないものだ。





コブランジン
第9話に登場するコブラ型怪人。元の被験者は不明だが西部警察に出てきそうな男が人間体である。得意技はコブラ催眠と爆破液の放射。任務は名だたる格闘家を改造人間にし、最強の殺人軍団を作ること。
コブランジンは武道を重んじ、気に入った相手はいきなり捕獲せず人間体のまま闘いを挑む。腕前はかなりのもので跳躍を駆使した飛び蹴りを得意とするが、筑波が通う空手道場の師範代との闘いで窮地に追い込まれるとコブラアイを駆使する残念な一面もある。しかし怪人体になると人が変わったように武道のぶの字もなくなり、コブラ型の左手から爆破液を放射する戦法に出る。言うまでもなく人間体の方が強い。
作戦を変更したり未完成の殺人軍団を戦闘に参加させたりと行き当たりばったりな行動が多く、キノコジンから続いている有能路線からは外れている。終始ニヤケ面だし。
最期は目つぶしからのスカイキックというコンボにより絶命。彼が任務遂行できれば和製エクスペンダブルズが実現していたというのに残念でならない。
ちなみにこの回からGMは昇格し左手がメカになっている(任務失敗が続いているのに何故?)。





カニンガージン
第10話に登場するカニ型怪人。元の被験者は不明。得意技は発火性の泡の放出と必殺二枚ばさみ。任務は石油コンビナートを爆破し、関東中を火の海にすること。
冒頭でダイナマイトを仕掛けるが人員不足なのか日を跨いでの作業をしていた為、近所の子供に見つかり、結果的にライダーにも見つかる失態を犯す。詰めの甘さが露呈し、ライダーチョップで起爆装置を叩き割られ計画は失敗に終わる。
最期は必殺技の二枚ばさみを披露するが、単にタコ殴りするだけで全く効かず、ハサミを踏みつぶされスカイキックを食らい絶命。これまでの怪人は発光して消えるという演出だったが、ここに来て初めて爆発するという怪人らしい最期を飾った。


という事でいかがでしたでしょうか。今回は第10話まで紹介しました。
全体的に人間臭い台詞を吐く怪人が多く、外見もスッキリとしたフォルムが印象的です。予算がなかったのかな?
何より彼らもまた上司の指示で動く会社員となんら変わりはなく、出来不出来もあるということですね。
次は第20話までを紹介したいと思います。
ではでは。



1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

はじめまして
遅いとは思いますが、ネオショッカー怪人のもとになった人間については、
当時ケイブンシャから刊行されていた新仮面ライダー大百科に載ってました

ガメレオジン=身寄りのない20歳のヒッピー。行方不明になっても誰も気にしないからという理由で選ばれた

クモンジン=海洋汚染のせいで魚が取れなくなって破産した漁師

コウモルジン=元日本陸軍大佐で公園の管理人、戦闘狂で戦いたくてネオショッカーに志願