2014年12月31日水曜日

2014年 映画ベスト15+4


2014年ももう映画ランキングの時期ですね。去年に比べて今年公開作品は全然観れませんでした。
昨年は77本だったので今年は最低100本は観ようと目標立ててたんですが社会人史上、 というか人生史上最も忙しくて映画どころかテレビ、音楽、書籍、ネット全ての娯楽に触れる機会が少なかったです。よって今年公開作品の観賞数は46本でした。
仕事終わりに映画館に行くのも体力的に無理、そして深夜に仕事が終わる毎日でしたので物理的にも無理でした。その上、9月から 悪化に悪化を重ねたヘルニアの痛みが限界に達して11月中旬くらいから仕事ができなくなってしまったと同時に上手く歩けなくなったので、都内で上映している映画などほとんど観に行く事ができませんでした。仕事をする為に生き過ぎたと痛感した一年でした。
かなりダウナーな 文章になりましたが今年の映画ベスト15に加えて去年同様、ピックアップ賞を挙げていきます!
今年の傾向は映画を観て鳥肌が立つほど感動・衝撃・絶望したものが多かったので。そこを基準に選びました。

では15位から4位です。



15位『ぼんとリンちゃん』


先に言いますがランキング唯一の日本映画です。
マーベル風のオープニングも同人誌やアニメを共通とするキャラクターが登場する故に、ただやりたかっただけではない意気込みを感じるし、マーベルよろしくこれは若者達の戦争映画でもあります。
実際大人になってから分かる事だが大人が言う「若い頃の苦しみは一瞬」ていうのは若者にとっては永遠の絶望にも等しいもの、「大人から観たら若いもんは」とそこに線引きはできないということに気づかされるし、ホテルでの長回しシーンや「ハートがくそいてえ!」のシーンは素晴らしいです。


14位『ドラッグ・ウォー 毒戦』


今年始めにシネマカリテで観た作品。
ジョニー・トー作品は初めてでしたがめちゃくちゃ面白かったなー。
ろうあ兄弟銃撃戦が一番好きなシークエンスです。ラストの銃撃戦の果てに待ち受けてる展開には鳥肌立ちました。こんな映画あるんだなーと新鮮な気分でした。



13位『ゴジラ』


同時期に54年版『ゴジラ』のHDリマスター特別上映を観たのも含めての、ですね。
作品的な穴はどうしても目につきますが、ゴジラの咆哮、ムートーを倒す下りは最高ですね。
自分のルーツを再確認できたことが個人的には大いに価値のある作品になりました。



12位『インターステラー』


ガルガンチュア、5次元表現、TARZのギミックの妙など既視感を持たせた上でそれらをアップグレードした映像にしてみせた点が凄いですね。
改めて『2001年 宇宙の旅』は凄い作品 だと思ったり、友人に薦められて『トップをねらえ!』を観たのも思い出深い。



11位『フューリー』



本物の戦車はすっげーなーと完全ド素人が観ても凄い戦車映画でした。敵側と味方側で砲弾の色味が分けられて分かりやすかったり、戦争の無情さを完膚なきまでに見せてくれました。一番緊張するのは食事のシーン。グッときたのはノーマンが成長していき「マシン」と命名された瞬間です。


10位『THIS IS THE END 俺たちハリウッドスターの最凶最期の日』



コレに関してはオバカ映画と思いきや人間讃歌であり若手ハリウッドスターがオールスター 的に出演する豪華SFホラーコメディ!僕はもうエンダーーーーーのとこで親指立ちました。
ちなみに北朝鮮がサイバー攻撃をかけて問題になった映画『The Interview』の監督は今作と同じセス・ローゲンなのです。



9位『ショート・ターム』


細かい気配りが行き届いた傑作。なんだかグッズに恵まれたのも印象深いです。
あとは何と言ってもマーカスの苦しみを訴えるラップシーンです!エンドクレジットで歌うラップと対になる内容ですっげー良かったなー。



8位『イントゥ・ザ・ストーム』


これは予告編が秀逸だと思いました。基本POVのファウンドフッテージものなのでその主観映像のリアルさを利用して「※近くのものにしがみついてください」というアトラクション的なアテンションが入る新しい内容で好感が持てました。
一番グッと来たのは台風の目の上空シーン。無音状態になるあのシーンはジャンル映画の域 を超えていたと思います。



7位『複製された男』


1回観ただけでは意味不明でしたが、解説や多くの感想を読んでもう1回観て「あ、そういうことなのか」と。ただ、答えが無い部分が好きです。解釈の幅がどんどん広がるので、そう言った理由でもラストのアレはビックリして声を上げてしまいました。



6位『アクト・オブ・キリング』


よく作ったなーこんな映画!という感想に尽きます。
インドネシアで起きた共産主義者狩りを実行したアンワルという男に密着し、虐殺体験を意気揚々と仲間と共に再現していくんですが、「白じゃなくてもっと濃い色の服にすれば良かったなー」とか「そこはこう叫ぶんだ!」とか指導するんですが、途中から被害者視点でものを語るようになり、このドキュメント製作を通して人間味を見いだしていってしまうんですね。ラストのあるシーンはまさに鳥肌ものです。


5位『新しき世界』


主要キャストがみんないい男なんですよ。スーツでビシっと決めた男達が「覚悟」を決める様が最高にいいんです。いいんです!
個人的には冒頭のセメントシーン、エレベーター襲撃シーン、ろうあ兄弟銃撃戦がアクション含め鳥肌ものでした。



4位『プリズナーズ』


『複製された男』に続いてドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作品。
ロジャー・ディーキンスの撮影もさることながら、多層的にヒントを散りばめて緻密な演出をする監督だなーと。特筆すべきはエンディングの切れ味ですね。映画があと一つの要素を回収すれば終わるという手前でフッと暗転する。キレッキレです!
『灼熱の魂』は未見ですが、ヴィルヌーヴ監督作品は今後も追っていきたいです。



さてここからピックアップ賞です。昨年同様4作品選出しました!



ベストヒーロー賞  スパイダーマン from『アメイジング・スパイダーマン2』


NYの住民がNYの住民を救うという、今年観たヒーロー映画の中で一番板についたヒーローっぷりを魅せてくれました。その人助けシーンも惜しみなく緩急をつけてかっこいいんですよね。そして住民からの歓声が上がる。これですよヒーローは!
何だが『仮面ライダーW』のその後を描いてくれているようでもあり、デハーンもエマも出てるし実質1位みたいなもんです。



ベストヴィラン賞  コバ from 『猿の惑星 新世紀』


一番の悪役ということでコバです !人間に対する憎悪が抑制できなくなる瞬感、人間の前では敢えて道化を演じ、シーザーというカリスマリーダーを失脚させ、ついには掟を破る悪漢ぶり!!
人間と同じとこまで堕ちていく下りは「なんでだっ・・・!!」と唇を噛み切る勢いでやるせなくなりました。




ベスト続編賞  『インシディアス 第2章』



一作目のラストから始まる続編は多いですが、これほど一作目を踏まえて話を広げて超面白いのは久しぶりでした。しかもホラーだけに留まらず、ミステリー、サイコサスペンス、タイムトラベル、タイムループといったあらゆるジャンルムービーの垣根を超えた風変わりな着地まで!幽霊、悪魔などのヴィジュアルも固定されていないのでいちいち不気味で悪趣味で新鮮でした。続編というフィールドを最大限に活かした傑作です



ベストアニマル賞  猫 from 
『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』


最も印象的な活躍をした動物に贈ります。
名前はネタバレになるので表記しません。物語上重要の役割を持たせるだけじゃなく、かわいらしく猫らしく撮るのは大変だったんじゃないかなー。動物を上手く撮る監督はそれ相応の手腕がありますね。コーエン兄弟見事!オスカー・アイザックも歌・演技共に良かった!ちなみに次点は『ゴーン・ガール』の猫


ピックアップ賞は以上です。
ではここからは3位から1位です。

3位 『ウルフ・オブ・ウォールストリート』


マコノヒーが普段から緊張をほぐす為にしていたチェストソングを採用したディカプリオは天才。そして社員全員でそれ歌うシーンは最高ですね。ガンギマリでランボルギーニを運転する下りもオスカーものだったのになー。
ちなみにチェストソング目当てでサントラを買って落胆した人は多いはず。


2位 『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』


なんと言ってもやはり、タイトルコールが鳥肌もんですよね。SFにウォークマンを持ち込む大発明!素晴らしすぎる!!

ロケットの「オー・・・イェエア・・・!!!」とか、最後の方にかかるMarvin Gayeの『Ain't no mountain high enough』がまたグッと来る。サントラが一時的に売り切れ状態になったのも頷けます!
今後間違いなくクラシック化して何十年後かには現在の『スター・ウォーズ』的 立ち位置で語られると思います。

1位 『ゴーン・ガール』


今年はこれで間違いないでしょう!2012年の『007 SKYFALL』の様に年末間近で弩級の作品が現れました。劇場で味わった鳥肌を超える絶望は忘れられません。
僕の今までの映画生涯ベスト『悪魔のいけにえ』、『鉄男』、『Mr.nobody』に続いて今作が文句なしの堂々の殿堂入りですね。ベストでありワーストであり生涯ベストです!



2014年12月29日月曜日

結婚とはなにか?『ゴーン・ガール』



ゴーン・ガール(字幕)

原題:Gone Girl
2014/アメリカ/149分
監督:デヴィッド・フィンチャー
製作:リース・ウィザースプーブルーナ・パパンドレアレスリー・ディクソン
脚本:ギリアン・フリン
出演:ベン・アフレック、ロザムンド・パイク、タイラー・ペリー 他

ストーリー:ニック(ベン・アフレック)とエイミー(ロザムンド・パイク)は誰もがうらやむ夫婦のはずだったが、結婚5周年の記念日に突然エイミーが行方をくらましてしまう。警察に嫌疑を掛けられ、日々続報を流すため取材を続けるメディアによって、ニックが話す幸せに満ちあふれた結婚生活にほころびが生じていく。うそをつき理解不能な行動を続けるニックに、次第に世間はエイミー殺害疑惑の目を向け……


ネタバレ、大いにあります

今年は忙しすぎた一年だったのでフィンチャーの新作が公開されるなど公開半月前まで全く知る由もありませんでした。劇場で予告編を見たときは「ベン・アフレックの監督最新作か?」とぼーっと考えていると、最後に「監督デヴィッド・フィンチャー」の文字。なにやらベン・アフレックがめんどくさい事件に巻き込まれてあの絶妙に気の抜けた顔を披露してくれるのかーなんて思っていました。
公開直後、ツイッターのタイムラインが凄いことに。「ゴーン・ガールやばすぎる・・・」、「年の瀬にすごいのきた」、「ネタバレになるから何も言えないが、超傑作」などと祭り状態になったんです。もともと観に行く予定でしたが、そこまで映画ファンを唸らせるんだったら早いとこ行かないと、と思い御馴染み109シネマズ湘南にて二回観てきました。

地獄でした。

まず、僕は「結婚」というものにもの凄く嫌悪感を感じる人間なんです。そこが根底にあるというのを前提に感想を書きますね。
なぜ嫌悪感を感じるかと言うと、僕自身この記事を更新している段階では24歳なんですが、人生単位で考えている問題なので明確な答えが出せていません。低い語彙力も手伝っていますが、しっくり来る理由が未だ浮かんでこないんです。

好きな人が結婚生活を通して良くも悪くも変わっていくから?
自分一人の時間がなくなるから?
苦手な子供を持つという問題が浮上するから?
今にも増して背負うものが増えるから?

これら だって相手次第ですし自分次第でもありますし、ある意味その理由にもなり得るものでもあると思います。僕の両親は不仲というよりは寧ろ仲がいい方です。会社の上司の夫婦仲の話を聞くとあまり良くはないようです。今まで生きてきていつからこういう価値観になったのかは覚えていませんが、一つの答え・・・まではいきませんが答えに擦った瞬間みたいなものがございまして。それは『先生を流産させる会』の中でこういう台詞があります。
「OOって、結婚したんでしょ?・・・気持ち悪くない?」
いずれ通るかもしれない「結婚」というものに対する畏怖の念というか、それこそ嫌悪感が溢れた瞬間の台詞。女子中学生がこの台詞を吐くんですが、これを聞いたときもの凄く共感できたんですね。
この感覚に通ずるものがあるか考えました。僕が小学校低学年のあるとき、授業中の6年生の教室の前を通りました。窓から教室内を見たとき「なんて難しい授業なんだ。そもそも黒板に何が書かれているのか理解できない。6年生になったらこんな授業を受けないといけないのか・・・」と軽く絶望したことがありました。でもコレって当然の感覚だと思うんですね。そのときある筈のない知識が目の前にあるということはそりゃ恐いですよ。当たり前ですが、普通に進学していけば自ずと分かる内容になっているんですよね。僕はまだ低学年で結婚している人たちは6年生だとするとまだ分からなくて当然ということなのか。ただこの例と結婚している人たちの違いは「覚悟」ですよね。これから「結婚」というものがもたらす環境の変化や人間関係の構築などを背負う「覚悟」があるかどうかということ。単にビビってるという風に言われてしまえばそれまでかも知れませんが、それでは "なぜ嫌悪感を感じるか" という答えにはならないんです。こんな感じで堂堂巡りなんです。




朝、夫ニックが外出から家に戻ると妻エイミーが消えていた。警察に捜査を頼むも壊れた家具や小さな血痕、ニックの妻への関心の無さから妻殺しの疑惑は次第にニックにかけられる。
さて、エイミーの日記と、捜索状況が交互に展開されていくんですが、この二人最初からちょっと変なんです。
妻のエイミーは日記の語り口が乱暴だったり、図書館でヤッちゃう異常性だったり、記念日には二人の最高のセックスに相応しい上物のシーツを贈ったり、単なる恋愛の初期衝動という言葉では片付けられない不気味さがあるんですね。
一方、夫のニックは表面的な表情しかしない腑抜けた感じが引っかかる。大学講師でもあるニックは教え子である巨乳女子と愛人関係にあるのですが、いよいよそれが発覚するシーンでは「あちゃー」と顔を手で覆いたくなるような失態ぶりで超笑える。しかも「ヤったらすぐ帰るんだよ」と優しく呟くも朝まで一緒に寝てる始末。こいつが本当に奥さん殺したんじゃないの?」と思えてきてしまう。
しかし、映画の折り返し地点で全ての種明かしがされると映画の構造が一気に反転します。エイミーは実は生きていてニックを陥れる為に殺人現場を偽装し、失踪。男にとっての理想の女を演じていたということなんですが、これって女性だったら共感できるんですかねー・・・。なので図書館でヤッちゃう異常性だったり、記念日には二人の最高のセックスに相応しい上物のシーツを贈ったりってのはニックの理想に寄り添った行動だったんですね。「完璧なエイミー」という母が描いた絵本のモデルであり、そのせいで常に自我と闘いつつも「完璧」を演じてきた彼女は少しずつこじれていき、屈折していったんですね。ちなみにここの種明かしは一流の編集と音楽と演技と演出で10分前後のシークエンスなんですが、観客がこの上ない緊張感を持って事態の収拾に集中力を注ぐあの異様な空気感は凄いです。




この後、コテージかなんかで生活していたら隣人に金パクられて「ぐぬぉぉぉおおお!!(コレマジ)」と枕に顔を埋めるシーンや、行き先に困ったエイミーは元カレであるデジーと再会します。気に入らない男は徹底的に陥れる彼女はまたしても嘘を重ねていきますが、デジーに関してはついに殺害という手段を取る。 後に「キチガイ元カレに誘拐されていたの!」と泣きつけるように股間に赤ワインを塗りたくり監視カメラに向かって絶叫(このシーン自分が録画テープを隠滅するんだったら必要なくない?ちなみにスパイダーマンのように這って窓際までいくこのシーンは不快指数7億)→膣内をワインボトルで傷つけ、手首に拘束された痕をつけてレイプ被害を偽装→デジーとセックスし、デジーが絶頂に達する瞬間にのど元をカッターでぶった切る。→「はい、今日の仕事終わりー」と無表情でスタスタとその場を後にする。・・・これ笑えるんですが、エイミーの迷いのなさが気持ち悪くて気持ち悪くて・・・「早くこの映画終わらねえかな・・・と具合悪くなってしまいました。




さっきから笑える笑えるってお前充分楽しんでんじゃねえかと思うかも知れませんが、↑上の写真のベン・アフレックみたいに、口は笑っててもそりゃ目は死んでますよ。
ラスト、エイミーはデジー殺害時の血まみれの姿のままニックの元へ戻ってきます。そうです、「キチガイ元カレに誘拐されていたの!」とFBIに嘘をつき、世間ではめでたしムード。捜査を続けていたロンダ刑事も質問をはぐらかすエイミーに「このクソ女が!」と疑念を噛み殺しつつも、それ以降は既に捜査権はFBIに渡っていたので口出しはできずという歯痒さ。
エイミーがやりたい放題やっていたとき、もちろんニックも妹マーゴと弁護士のターナーと一悶着ありながらも、エイミーのサイコパス性質に気づき、有名番組に出演して誠実さを見せたりと奮闘していたんですが、そこはエイミーの方が上手。「猫を被るのはやめろ、君とは事態が収まったら離婚する!」と勢いづくも 「そんなことしたら私のファンが黙ってないわ。」その上、精子バンクに預けていたニックのそれを使った「妊娠」という最低の最終兵器を使う。これに憤慨したニックはエイミーを壁に叩き付け「なんでこんなことを!僕は君を愛していた。でも今はお互いを傷つけ、支配し合うだけじゃないか!」と言うと間髪入れずエイミーは「それが結婚よ」と一掃。
・・・もうね、スクリーンと自分との距離がどんどん離れてやがて暗闇に堕ちていくようなとてつもない絶望感に包まれて本当にめまいがしました。極端とは言い切れないその答えは僕が探していた「なぜ結婚に嫌悪感を抱くか」という問いに対して充分すぎるものでしたどこかでそういうものだと気づいていたのかもしれません。じゃないとここまでドハマりする答えもないと思います。理想の女性像を勝手に投影してそうあって欲しいと願う。また自分もそう演じながら接したり男なら誰しもそういう経験があるんじゃないでしょうか?
ニックは子供に対して罪悪感を感じ18年間エイミーと仲睦まじい夫婦を演じることを決意します。辛すぎる・・・。
そんなんだったら結婚なんてしたくないと思いましたが、それ以上に「それが 結婚」と言うなら「あーいいよ!それが結婚なんだったら何十年と演じ切ってやるよ!!上等じゃ!!(極端)」とある意味で覚悟が持てた気がします。まだまだ恐いですけどね。ゼクシィのCMとか僕に取っては欺瞞の塊です。





そんなこんなでこの映画、今年ベスト1でありワースト1でもあり僕の生涯ベスト級の作品になりました。
みなさん、ぜひ観に行ってください!一人で観に行くもよし!カップル、夫婦で観に行くもよし!(劇場内のカップル、夫婦はもの凄く生気の抜けた顔になって劇場を出て行きました。)一番は友人関係の男女が観に行くのが一番面白いんじゃないかなーと。
今回の演技でエイミー役のロザムンド・パイクは間違いなくオスカー狙えると思います。来年のアカデミー賞が楽しみです。


2014年12月9日火曜日

Dir en grey『ARCHE』がまたもや素晴らしい。

予想外!!

発売日前日の午前中に届くとはAmazon にしてはやるなーと思いつつ、高速で再生紙でできた分厚い封筒を引裂き、中身を取り出す。本当は映画を観に行く予定だったが、一刻も早くその世界へダイブしたかったので予定を変更し一日家に籠ることに。
そうです、みなさん。ついにDir en greyの3年と4ヶ月ぶりの 新しいアルバム『ARCHE』が手元に届きました。





8/5火曜日の新木場にて行われたTOUR14 PSYCHONNECT -mode of "GAUZE"?-(全身の穴から体液が流れきるような凄くいいライブでした・・・)のお土産チラシの中に上記のデザインでニューアルバムのお知らせを受けてから早半年ちょっと。


まず今回目を引いたのが『輪郭』から続くB6サイズほんの一回り大きくしたようなパッケージで『UROBOROS』から続いたアナログ盤付属の仕様ではないこと。中を開くとステッカー、ポストカード、特設サイトへの案内状、そして歌詞カードはじゃばら状で表裏でデザインが繋がっている仕様。もう一つ冊子があり、こちらは各メンバーのグラビアとインタビュー、そして今回一番嬉しいのが1曲毎に各メンバーの短い解説がついているんです。今までに無いことだし、 個人的に解説付きって凄く好きで読んでて楽しいんですよね。どのアーティストに対してもそういう仕様にしてくれるのを願ってますがDir en greyはまた格別というか、よくぞつけてくれた!といった感じ。音楽雑誌を読めばいいことなんだけど一つに凝縮した感じで良いと思います。


数年に1回の祭事と言っても過言ではない新しいアルバムの発表ですが、せっかくなので解説もインタビューも読まない状態でまず通しで聴いてみストレートに感じたものを黒文字で書きます。その後もろもろ読んでからまた感想を赤文字でという構成にしたいと思います。タイトルテキストの色は聴いてなんとなくイメージした色です。

Disc1

01.Un deux
TOUR14 PSYCHONNECT -mode of "GAUZE"?-で既に披露されてました。
『Withering to death.』の頃のようなテイストを感じました。勢いのある1曲目でガッと掴まされる部分も通ずる気がします。
歌詞も凄く前向きな希望を感じるものでした。
他の曲にも未来や前向きな意識を持たせる歌詩があるが、唯一分かりやすく前向きな内容にしたとのこと。京も言ってるように、そういう意味でもこのアルバムの核になってるんだなーと。


02. 咀嚼
どことなく"和"を感じるけどイントロや随所に入るギターがSlipKnotっぽくもあるんだけど、ちょっと物悲しい感じのサビがまた好きですね。サビの入りが聴いてて気持ちいい。
やはり薫曰くキメの部分を意識してガッツリ入れたらしい。確かにコレ演奏してる側は気持ちいいだろうな。

03. 鱗
賛美歌の如く声の重ね方が凄まじく、存分に京の声を堪能できる一曲。
『GAUZE』〜『MACABRE』の頃のようなアップテンポでV系然としたメロディやギターソロが聴いててなんか嬉しい。
京が自分ができることを追求した結果の一つとして様々な声色を駆使するというテーマが製作の過程であったらしい。まさしくこの曲はそれに当てはまる一つなんではないでしょうか。

04. Phenomenon
「DISABLED COMPLEXES」のようなダウナーでアンニュイな感じがクセになりますが、後半は切なくもなにか美しい風景を観てるかのような雰囲気がまた溜まりません。
京「一番ダークな気がします。単にドロついてるのではなく、どこか綺麗な感じがします。」←京と感性が繋がった瞬間(歓喜)

05. Cause of fickleness
00年代中期のV系っぽい感じが逆に斬新。彼らも一周周った感ありますね。
笑い声といい、歌詞表記(wake me up〜)が繰り返しになっていて原点回帰かのような勢いが聴いてて気持ちいい。新たなライブ定番曲となる予感。
Shinya作曲というところに驚愕!「虜」といい「腐海」といい、ツボ付いてくるなー。
確かにToshiyaの言う通り『鬼葬』や『Withering to death. 』に入っていてもおかしくない!!

06. 濤声
凄くライブで聴きたい曲。
Shinyaのドラムがここまで終始気もちいいのは個人的には久しぶりだし、珍しいアプローチの仕方だと思います。
Shinya曰く「名曲」。
ドラムロールも加えてドラマチックを意識したそうな。

07. 輪郭
僕自身ドラムを叩いている人間なので一番に「おっ!」と思ったのがシングルの音源に比べてスネア、タムの音がスモークがかってるような、でもしっかりソリッドに響いてるところがまた憎い!ラルクの「Link」がシングルとアルバムとで変わったように!
アルバムに溶け込まないかもだから収録するかどうか悩んでいたらしいが、そんなこと言わないでスッと入れてくださいよ!全然違和感ないよ!

08. Chain repulsion
この細かいギターリフに加え4つ打ちといい、クラッシュ(Shinyaはクラッシュを使いませんが)を軸としたアレンジも新しくて超テンション上がりますね。Dir en greyが疾走感を出して来たのって凄い久しぶりじゃないですか?
僕の感想とメンバーの言ってることがほぼ同じでビビりました。

09. Midwife
前作『DUM SPIRO SPERO』に収録されていても馴染むような重さ。
「出産記念パーティー」を繰り返す部分は耳に残りますね。ぜひライブでオーディエンスと叫びたいです。
アレンジにかなり時間が掛かったそう。元の原曲が聴いてみたい。

10. 禍夜想
コレを聴いて『輪郭』リリース時にも思ったのですが、透明感のある楽曲が増えてきたなと漠然と思いました。
Aメロ、Bメロは激しく、サビはメロディアスにというV系独特の構造がある中でその殻を破ったDir en grey独特の色が出てると思います。
『SUSTAIN THE UNTRUTH』の頃にはあったそうな。そういうの何曲かありますけど、その当時には既にあった系のエピソード凄く好きで。自分があの頃何してたかを思い出して、それと同じ時間軸で彼らはこの曲を作ってたんだなーとぼんやり思い返すのが凄く好き。

11. 懐春
綺麗なメロディで大好きな曲です。ライブでどういう風に京が立ち回るのか想像がつきません。彼のことなので直立して歌うんでしょうが、サビのノリが体を揺らしたくなる気持ち良さなので気になりました。
Shinya曰く「これも名曲」。
Die作曲ということで、一番答え合わせ感がありました。さすが綺麗なメロディを作らせたら右に出る者はいない。非常に納得です。

12. Behind a vacant image
石川忠かと思うような轟音イントロですが、これまた多くの声色を駆使した曲。途中Cold Playのような優しい雰囲気になります。
Shinyaの「宇宙っぽい」というのは非常に共感できますね。真っ暗闇を放浪しているような浮遊感が心地いいんです。

13. Sustain the untruth
この曲もリリース時に昔っぽいと話題になりました。『輪郭』は少し毛色が違ったので『THE UNRAVELING』からこの曲にかけての流れが今作に継承されてると思います。
音のメリハリがシングル音源に比べてハッキリしてます。
薫「リミックスしてアルバム仕様になって帰って来た」この一言に尽きます!

14. 空谷の跫音
リリックビデオも作られているので、アルバムの一つの核となる曲だと思います。
『Withering to death.』と『UROBOROS』を掛け合わせたようなイメージでした。荘厳です。
前半はシンプルな音作りに徹底したそうな。
ちなみにタイトルの意味は「退屈で寂しい生活を送っているところ、思いがけず手紙が届いたり、誰かが訪れたりすること」これは僕の今の現状に少し当てはまったりして一気に印象が変わりました。

15. The inferno
「GARBAGE」と「凱歌、沈黙が眠る頃」を掛け合わせたような。
それにしてもフェードアウトしていくのはかなり珍しいですね。
勢いで勢いある曲を作ったらしい。そのままらしい。

16. Revelation of mankind
タイトルは「人類の黙示録」という意味でいいのか。そうだとしたら結構ストレートなタイトルで驚く。
Dieも言っていたが、確かにアッパーで始まり、アッパーで終わるアルバムはなかなかなかったなーと。そう考えると『鬼葬』以来か。

Disc2

01.and Zero
実際に聴いたことは多分ないが、恐らく既に開演前にSEとして流れていそうな一曲。珍しくボーカルはなし。
やはりSEとして流れていたらしい。最初は打ち込みだったらしいのでそちらを聴いてみたい。

02.てふてふ
タイトルは「蝶々」の旧かなつかいなんですって。この曲も『VULGAR』や『Withering to death.』の頃のような空気感がありますね。凄い懐かしい感じ。
解説で「アルバムに入れたら世界観が変わってた」と薫が言ってましたが、確かに「and Zero」もこの曲も別次元にあるような感じがします。でもこの二曲も含めて『ARCHE』と考えるとまた違って見えて面白い。


総合感想
メロディアスな曲が多く、前作のような音の面でのダウナーさは今作はそこまでない。
加えて新しい 試みや原点回帰的な部分もあってARCHE=根源というタイトルに相応しいアルバムでした。
今作は「より分かってもらう」ことに重点を置いて、今までの突き抜けた追随不可能な領域からは 方向転換してストレートなものを目指したらしい。それはやっぱりメロディにも演奏にも歌詩にも表現されてるし、インタビューや解説付きのブックレットもそういうテーマの下にあるんだと思いますね。そういう点も踏まえて個人的には かなりドストライクなアルバムになったと思います。ぜひいろんな人に聴いて欲しい。って言うのはDieが「賛否両論あってこそDir en greyだ」とインタビューで言ってたんですね。うるさ型のファン以外にも物議を醸したい人とかいると思いますが、残念ですがあんまりそれはできないと思います。文句なしに「賛」しか出てこないアルバムでしたので。


2014年12月8日月曜日

気配りが行き届いてる『ショート・ターム』



『ショート・ターム(字幕)

原題:Short Term 12
2014/アメリカ/97分
監督:デスティン・ダニエル・クレットン
製作:フレデリック・W・グリーン、ダグラス・ストーン、デヴィッド・カプラン 他
脚本:デスティン・ダニエル・クレットン
出演:ブリー・ラーソン、ジョン・ギャラガーJr.、ステファニー・ベアトリス 他

ストーリー:問題を抱える子供のためのグループホーム「ショートターム12」で働くグレイス(ブリー・ラーソン)。グレイスは、新入りのジェイデン(ケイトリン・デヴァー)という少女を担当することになる。グレイスは施設の同僚メイソン(ジョン・ギャラガー・Jr)と付き合っていたが、ある日、妊娠していることが判明する。そんな中、グレイスはジェイデンが父親に虐待されていたことに気付き……。




Rotten Tomatoes他多くのレビューサイトで高評価を受けている本作・・・の割には 周囲の映画ファンからの話題は上がらなかったので、かなり気になってました。オマケに主演のブリー・ラーソンですが、"メリル・ストリープ、ジェニファー・ローレンスの系譜を継ぐに充分な名演技!"とありましたので余計にっですね。いつもの如く109シネマズ湘南にて観て参りました。

いやー、いい映画でしたよ。

絶対観に行くという決意のもと、『エクスペンダブルズ3 』を観賞したときに先行して特典付きパンフレットを購入していました。ちなみに特典あ劇中に出てくるニーナの物語を小さなノートにまとめたもの。もう一つの特典としてトートバッグを選ぶこともできました。


特典の絵本はこんな感じ


中はこんな感じ


今まであまりスポットがあたらなかったであろう児童養護施設を舞台にしたヒューマンドラマ と言えば説明は簡単だが、ここで登場する多くのキャラクターも施設も環境も実在するということが を踏まえなければいけない気がしましたね。
物語は父親に虐待を受けた過去を持つグレイス と問題を抱えた少年少女(と表現すると彼らに怒られてしまいそうだが)が軸となって進行していく訳だけども、もの凄い実在感なんですよね。手持ちカメラで施設内を映す感じはドキュメンタリー風だし、小さなクセやしぐさが「こういう人いる!」と余計にそう感じさせる。

主人公のグレイスは不安を感じると親指の爪の端を人差し指でカリカリとかくクセがあったり、父親からDVを受けている ジェイデンもまた手を自傷するクセがあったり、サミーのダイナミックな脱走癖であったり、それらを画面のさりげない部分に自然かつ絶妙に置く繊細さとタイミングの良さに気づくとハッとさせられるんですよね。特にグレイスとジェイデンがお互いを理解しつつある段階で、グレイスが足をズタズタに切り刻んでいた過去を明かす場面は秀逸。親指のクセを見せておいてからのその描写は「あっ、自傷行為からは完全には抜け出せてはいないけど、親指のクセはせめてもの現実逃避をする手段なんだ・・・」と一発喰らわせられる。メイソンに妊娠を明かす場面では親指に絆創膏をして変わろうとしている描写が見られたり、凄く細くて的確な画面内気配り!!

僕が一番グッと来たのはキース・スタンフィールド演じるマーカスが自分の境遇をラップで訴えるシーン。なかなか自分のことを話さない彼がラップで初めてその苦しみを打ち明ける屈指の名シーンだと思います。しかもエンドクレジットでそのラップと対になる希望に満ちたラップが聴けますので、すぐ席を立たないでくださいね。
キースは映画初出演ですが実際にラッパーとしてMOORSというバンドで活動してるのでぜひチェックしてみてください。曲もめちゃくちゃかっこいいです。



一応MV貼っときます


監督の経歴や今作の製作にあたって興味深い対談がありますのでぜひ!
劇中に出てくるメイソンの里親の出自や日本と海外の施設の違いなど勉強になります。


余談ですが、上映後にいきなり抽選会が始まって、ステッカー(?)とTシャツを1名様づつプレゼントという催しものが始まって、僕的には全く知らなかったし当たりもしないだろうと帰り支度を進めていると、「i列10番の方!」「・・・私だっ!!」
まさかのTシャツ当選。それがコチラ。


メイソンが描いたグレイスの似顔絵Tシャツ。薄手で夏にはぴったりです。ありがとう109シネマズ。ちなみにパンフレット特典のトートバッグも同じデザイン。
後々調べたら、その日その回しかその企画やっていなかったみたいで実にラッキーとしか言いようがなく、妙にグッズが豊富になり思入れの作品となりました。


2014年12月2日火曜日

"分からない" が支配する117分間『神さまの言うとおり』




『神さまの言うとおり』

2014/日本/117分
監督:三池崇史
製作:市川南
脚本:八津弘幸
出演:福士蒼汰、神木隆之介、山崎紘菜、優希美青、染谷将太、リリー・フランキー、大森南明 他

ストーリー何事もない日々に飽き飽きしていた高校生・高畑瞬(福士蒼汰)の通う学校に突如ダルマが出現し、命を懸けたゲームの始まりを告げる。少しでも動いたら首が吹き飛ぶ第1のゲーム「ダルマさんが転んだ」をクリアした彼は、幼なじみの同級生・秋元いちか(山崎紘菜)と一緒に第2のゲームへと向かう。一方世間では、ゲームから生還した生徒たちを、神の子とあがめており……。




最初に言っておくと、原作を読んでいない状況で鑑賞しました。原作の存在はもちろん知っていましたが、正直「つまらなそう」という完全に舐めた姿勢で向き合うことすらしなませんでした。そんな舐めた姿勢の人間がなぜ今作を観たかと言うと、そう、三池監督作品だからですねー。『悪の教典』に次ぐ学園バイオレンスものとして、一抹の不安を抱えながら劇場へ。


結論・・・どう分かろうとしても分からない・・・


純粋に"分からない"部分が多かったので、観賞後に原作の1部を読みました。今作は1部の中間らへんまでの話。ただ読んで分かったことが。映画独自のアレンジももちろんありますし、キャスティングも申し分ないと思いますが、これは原作を読んでいないと分かりませんよ。あまりに意味不明な点が多くて読んだ後に後悔しました。なので今後観ようかなと思ってる人は原作を読んでからのほうが絶対にいいと思います。よくある、難解で作者が伝えたいメッセージが分からないタイプの映画とか、映画を観終わって「あれって、そういう意味か!」とカタルシスを迎えるとか、そういう種類の"分からない"じゃないんですよ。今作の"分からない部分"はいくら考えても教養や感性や知識を用いても原作を読んでいない限り分かりようがないんですよ。

具体的に言うと、大森南明演じる引きこもりのオタクと、リリー・フランキー演じる神らしき男の言動。
まずオタクのほう。クライマックス、主人公達は死のゲームを終え、地上に解放され、神の子と賞賛される状況下で、オタクは特攻服を着て「世界を救ってくる」といきなり立ち上がるんですよ。さっっっっっっっっぱり意味が分からない。伏線もなにもないこのキャラクターのこの言動にどうやって空想を巡らせればいいのか!?まともなオタクならまだしも引きこもりのちょっと危ない奴として描かれているので、単純に勢いづいて主人公達を殺しにいくという程度のものしか浮かばないんですよ。で、これ原作を読めば分かります。神の姿を観たオタクは昔コミケで出会った同人誌を販売する一人の男を思い出し、その男が神と同一人物だと危惧する。その上死のゲームの内容が男から入手した同人誌の内容と酷似しているという点から、かつて暴走族として生きていた自分を奮い起こし悠然と大きな闇と対峙する。ここまで想像できる人はいないと思います。

そしてリリー・フランキー。原作では神小路かみまろという何者かに神同然の力を与えられたキチガイなんですが、映画だと壊れたラジオを一発で直すくらいの描写しかなく、なぜお前が!?感が半端じゃなく腑に落ちない。ただの機械の心が分かるホームレスにしか見えない。

他にもいくつかありますよ。なんで野次馬と一緒に警察も盛り上がってんだとか、缶蹴りの爆破するシステムは嘘でした(嘘!?嘘ってなんだよ!なんだよそれ!!!!)とか、天谷は唯一の神の子になりたいのか高畑と共に神の子になりたいのかよく分からんし、高畑といちかの帰ったら何をしたいか話も軽すぎ(佐竹と翔子ちゃんの墓とか作ってやれよ!!)だしね。こっちは気を張って死のゲームを観てるのに「結末それかよ・・・なんのハラハラだったんだよ・・・」と肩すかし食らいまくるので、もう只々疲れるだけ。


こうはならない


そうは言っても好きなところもありますよ。
一番は染谷くんと神木くんの主人公泣かせの食いっぷりですね。
特に染谷くんは冒頭だけの登場なんですが、場を制圧する雰囲気は一級品。死に際に中指を立てる演出も三池監督らしい毒っけもあって100点満点でした。
神木くんは今までのキャリアからは珍しく狂気に満ちた最強の男 天谷を演じていました。少しキャラにぶれ(後で書きます)があるのは置いといて、活き活きとしていて新鮮でした。「俺も高畑のこと・・・好き」というシーンは神木くん、それ本心じゃないよね!?と恐くなりましたが。
福士くんのフォーゼ仕込みのアクションも好きでした。
あとR15に抑えるべく、だるま戦の血しぶきを赤いビー玉に変えるという工夫もグッドだと思います。

ラストはいかにも続きがあるような見せ方でしたが、続編はないと思います。なぜなら原作の1部がもの凄く救いの無い(読者に対しても、キャラクターに対しても)終わり方をするからです。2部を読んでいないのでその先は知りませんが、読みませんし、気にもなりません。原作好きな方、出演者が好きな方はオススメなんじゃないでしょうか?