2013年5月7日火曜日

白目じゃなかった リメイク版『死霊のはらわた』

 


『死霊のはらわた』(字幕)

原題:EVIL DEAD
2013/アメリカ/91分
監督:フェデ・アルバレス
脚本:フェデ・アルバレス、ロド・サヤゲス
製作:サム・ライミ、ブルース・キャンベル、ロブ・タパート
出演:ジェーン・レヴィ、シャイロー・フェルナンデス、ジェシカ・ルーカス 他

ストーリー:うっそうとした山奥にたたずむ小屋を訪れた、ミア(ジェーン・レヴィ)をはじめとする5人の若者。小屋で「死者の書」という不気味な書物を見つけた彼らは、はからずも邪悪な死霊をよみがえらせてしまう。解き放たれた死霊はミアにとりつき、若者たちに襲い掛かる。おぞましい姿に変ぼうしたミアと戦いながら山から脱出しようとする若者たちだが、死霊の力によって行く手を阻まれてしまう。助けを呼ぶこともできぬまま、一人、また一人と、彼らは死霊にとりつかれ……。


109シネマズ湘南にて観てまいりました。
こないだ劇場で予告を観て「気合入ってんなー」とボーっと思ってたらもう公開へ。
劇場内ではカップルや中年夫婦や親子で観に来ている客が多く、こちらとしては僕みたいなロンリーウルフが多くいることを期待したのに残念な限り・・・。

『死霊のはらわた』と言えば言わずもがなスプラッタームービーの大傑作だが、果たしてここまでの作品をリメイクなんてできるのだろうか?結果、僕はリメイクできていないと思いました。
と、言うのも全体的にゴアにゴアを重ねたり、展開がお約束の範疇だったりと、意欲は認めたいけど全く別の作品を観ているようだったからなんですよ。それは監督の意図でもあるんですが(後ほど書きます)。

僕が気になった点が大きく二つありまして、まず一つ目。死霊の所在なし感がまるでない。オリジナルを観た方ならご存知のはずですが、死霊は死霊そのものの姿を見せないじゃないですか?現れたとしても人体を拝借するだったり、死霊目線のアングルになるだけだったりとそのもの実態があるのかないのか分からない所在なしの存在なんですよ。
それなのにですよ?リメイク版では主人公ミアが森に襲われるシーンで、謎の女がいるではありませんか。「ん?誰これ?」と思って観ているといきなり口から黒い木のツルみたいな物体をオロロロロロロと吐き出し、そのままミアのアソコにGO!!(これはこれで好きなんですが)って・・・待て待て待て待て。あれが死霊なの!?と。リメイクとは言え僕らが恐怖してきた阿鼻叫喚のあの『死霊のはらわた』の死霊はあの女なの!?・・・・・・もう僕は何も信じられなくなりましてねぇ(遠い目)。
その上、死霊の目が赤いカラコンと来た。全然怖くない。全然狂ってない。人間の目って瞳がある時点で意思を感じてしまうと僕は思っていて、オリジナル版の死霊は全員白目で狂いに狂っていて次に何をしでかすか、どこから出てくるか、分からないから今見ても怖いんじゃないですか?
監督のフェデ・アルバレスは「オリジナルのアイデンティティーをベースとして全く新しい映画を作る気でいた」と語っていますが、だったら・・・だったら白目にしようよと思いましたね。そこはアイデンティティーの一つなのでは?と思えて仕方がなかった。白目にすれば所在なし感も増すと思うんだけどなー。


二つ目、なんかゾンビみたい。
なんか死霊の登場の仕方がゾンビみたいなのが気になった。オリジナル版の死霊たちはとにかくエキセントリックな動きと登場仕方で僕達を楽しませてくれたけど、リメイク版は最初はいなかったのにカメラがパンすると後ろに立ってぼーっとしてたり、ノロノロ動きながら釘打ち機をピシュンピシュン撃ってきたり「んーーーなんか死霊じゃなくてゾンビみたいだなー」と観てて眉をひそめてしまった。

好きなところも結構あったり。
冒頭、森が天地逆さまになっててるのは『デビル』っぽくて期待を煽るし、肉きりチェーンソーで腕を切り落としたと思ったら筋一つで繋がっててブチっと落っこちたり!
あとナタを手に取ろうとしたところで「えーナタなのー?」と思った瞬間にその上の棚にチェーンソーがあったりだとか!
血ゲロぶっかけるシーンは『スペル』っぽいなーと思ったり、血の雨の中で死霊ぶった切りシーンとかね。しかもあのミア役の人耳に血の雨が入って感染症になっちゃったとか。
ミアが水面を移動して迫り来るシーンはそれなりだけど、お約束っちゃお約束。ビオランテのそれには及ばず(比べていいものか・・・)

 
『ゴジラVSビオランテ』の予告編貼っておきますね。ビオランテの移動シーンも入ってます。



『ゾンビ』、『13日の金曜日』、『悪魔のいけにえ』など数多くの名作ホラーがリメイクされきてましたが、今作は成功してると思います。ただ『死霊のはらわた』のリメイクではなく、名作ホラーのリメイクとしてです。
現代の技術やスタッフを使って焼きなおすだけではなく、あくまでオリジナル版のストーリーやアイデンティティーをベースとして全く別のものをCGなしで、笑ってしまうほどのゴアで世に出してくれた熱意は嬉しい限りです。


今作で一番好きなシーン。あーだこーだ言っても忘れられないシーンがあるというだけでぐっじょぶです。
血の量ではオリジナル版には負けてないのでオススメです。

2 件のコメント:

shun さんのコメント...

検索より失礼します。

>人間の目って瞳がある時点で意思を感じてしまう

全く同意見なんです私。
あの白目があるからこその恐怖がオリジナルの良さだと思うんですが、やっぱり瞳が入ってしまうと一気に恐怖感が薄れてしまいますね。
映画作りとしては頑張ってるしもちろん良作ではあるんですが。
オリジナル版のファンとしては寂しい限りです><

禍観音 虚太郎 さんのコメント...

shunさん、コメントありがとうございます!

僕もオリジナル版は何回も観てるので、かなり歯がゆいんですよねー。
でも同意見の方がいて嬉しい限りです!